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沖縄・那覇で昔から親しまれているという、真っ白な泡が特徴の「ブクブクー茶」。

ごはん茶碗よりやや小ぶりな器に、こんもり盛られた白い泡。その上には、砕いた落花生がのっています。まるでソフトクリームのようですが、これが沖縄独特のお茶「ブクブクー茶」です。

この「ブクブクー茶」のように、お茶を茶筅(ちゃせん)などで泡立てて飲む風習を「振り茶」と呼びます。現在、振り茶の伝統が残るのは沖縄県那覇市の「ブクブクー茶」のほかには島根県松江市や出雲地方の「ぼてぼて茶」と、富山県朝日町の「ばたばた茶」だけです。いずれも茶筅で泡立ててから飲みますが、「ブクブクー茶」は泡そのものを楽しみます。

まずは簡単に「ぼてぼて茶」と「ばたばた茶」を説明しておきましょう。

「ぼてぼて茶」は、番茶と茶の花を煮出したものを穂先の長い茶筅で泡立てます。茶筅の先には、少量の塩を付けておきます。茶の花を入れないとなぜか泡が立ちにくく、塩を加えることでより泡立ちがよくなるそうです。泡立てたお茶の中に白米あるいは赤飯、たくあん、黒豆、椎茸、高野豆腐などお好みの具を入れて飲みます。お茶というより、おやつに近い感覚です。

一方の「ばたばた茶」は、緑茶を発酵させた黒茶を使います。最近、テレビの健康番組などで四国・徳島の「阿波晩茶(あわばんちゃ)」が注目されていますが、同じ種類のお茶になります。大ぶりの茶筅を2本合わせた夫婦茶筅を左右に慌ただしく、“ばたばた”振って泡立てます。こちらも茶筅の先に塩をつけると、泡が立ちやすいそうです。ただし、ばたばた茶は、お茶の中には何も入れません。その代わり、精進のお茶請けを用意して、おしゃべりを楽しみながら何杯も飲みます。

さて、「ブクブクー茶」です。

じつは、このお茶を飲む習慣は戦後廃れてきて、沖縄でもその存在を知る人が少なくなっていました。“幻のお茶”になってしまう寸前で、ブクブクー茶の再興に取り組んだのが、沖縄調理師専門学校の創始者で料理研究家の新島正子さん(故人)と次女の安次富順子(あしとみ・じゅんこ)さんです。

おふたりは、この伝統あるお茶の保存・普及に努めようと、平成4年に「沖縄伝統ブクブクー茶保存会」を設立し、機会あるごとに講習会を開いて豊かな“泡の魅力”を伝えています。

リサイズ講習会

沖縄伝統ブクブクー茶保存会が開催する講習会の様子。

「沖縄伝統ブクブクー茶保存会」では、毎月第3土曜日の14時から、那覇市の牧志駅前ほしぞら公民館で無料講習会を開いています。公民館はゆいレール(モノレール)の牧志駅に隣接する、便利な場所にあります。また、事前の予約もいらず、公民館3階の実習室に直接行けば、観光客でも気軽に参加できます。

その講習会で教えてくれる作り方を通じて、ブクブクー茶とはどんなお茶なのか紹介しましょう。

用意するのは米を香ばしく煎った煎り米を煮出した、煎り米湯と、沖縄でサンピン茶と呼ばれるジャスミン茶と番茶をブレンドした茶湯です。講習会では、これらは事前に準備されているので、参加者は泡を立てるところから体験が始まります。

■ブクブクー茶の作り方

リサイズ手順1

手順① 大きな木の鉢(ブクブクーザラと呼びます)に煎り米湯と茶湯を入れます。

リサイズ手順2

手順② 大きな茶筅で泡を立てます。

リサイズ手順3

手順③ しばらくすると、大きな泡から細かな泡になります。

リサイズ手順4

手順④ 茶筅で泡を立て始めて10〜15分すると、細かくしっかりしたクリーミーな泡になります。

リサイズ手順5

手順⑤ 茶碗に1/3杯ほど茶湯を注ぎ、赤飯を少量入れて、その上に泡を茶筅ですくって盛りあげます。煎り米湯に使った残りの煎り米を入れることもありましたが、祝いの席にブクブクー茶を点てることが多いので、赤飯を入れるのが一般的になったと考えられているそうです。

トリミング完成

手順⑥ 上から砕いた落花生を振りかければブクブクー茶のできあがりです。講習会では琉球菓子のちんすこうなどと一緒にいただきます。

「ブクブクー茶には、特別な作法はありません。豊かな泡を飲む、沖縄らしいおおらかさのあるお茶です。おしゃべりしながら、何杯もお代わりします。人と人とをつなぐ、ゆったりとした時間を大切にするのが、このお茶の最大の魅力ではないでしょうか」

同保存会の方のこの言葉で、講習会は終了しました。

豊かな泡には、水の硬度が関係します。珊瑚礁の島・沖縄の硬水があってこそのお茶といえます。真っ白な泡は見た目にも涼しげで、口に含むとなんとも香ばしい味わいです。泡は箸やスプーンなどを使わず、茶碗を傾けててそのまま飲みます。泡が残り少なくなったら、茶碗の底をトントンとたたいて飲みやすくしてもかまいません。その際、茶碗の底に残った赤飯も一緒にいただきます。

ブクブクー茶の講習会については、安次富順子さんが校長を務める沖縄調理師専門学校(TEL098-861-7100)まで問い合わせてみてください。

取材・文/鳥居美砂
ライター・消費生活アドバイザー。『サライ』記者として25年以上、取材にあたる。12年余りにわたって東京〜沖縄を往来する暮らしを続け、2015年末本拠地を沖縄・那覇に移す。沖縄に関する著書に『沖縄時間 美ら島暮らしは、でーじ上等』(PHP研究所)がある。

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