レバーの濃厚な旨みと野菜の甘みが絶妙のバランスで合わさったソース。食べごたえがあり、赤ワインがすすむ。イタリア・ピエモンテで教わったという伝統的なレシピは、驚くほど力強い味わいだ。

「肉も魚も、しっかり火を通して、旨みを引き出します」
イタリアは州ごとに個性豊かな食文化があり、パスタ料理もさまざま。毎年、イタリア各地のレストランや家庭で料理を習得している井上雄一シェフは、知られていない郷土の味がまだあると話す。
イタリア・ピエモンテで習った“鶏レバーのラグー”もそのひとつだ。ラグーは、豚や牛のひき肉が主流だが、鶏レバーでつくるとさらに現地の味に近づくという。
肝心なのがレバーの下処理。独特なクセが取れて、旨みとねっとりした食感が際立つ。炒めるオイルににんにくとローズマリーの香りをしっかりつけるのも、レバーを風味よく仕上げるためだ。
香味野菜と合わせて約30分煮込むとラグーの完成だ。力強い肉のソースには、弾力のあるパスタが定番。ぜひ赤ワインと一緒に。
鶏レバーのラグー 材料(4人分)
鶏レバー……500g
赤玉ねぎ(みじん切り)……100g
にんじん(みじん切り)……100g
セロリ(みじん切り)……100g
にんにく(薄皮ごとつぶす)……2片
ローズマリー(生)……3〜4本
ローリエ……1枚
黒胡椒(粒)……10〜15粒
塩……適量
白ワイン*……50ml
オリーブ油……適量
*あれば甘みと香りの強いマルサラ酒がよい。
鶏レバーのラグーパスタ 材料(2人分)
鶏レバーのラグー……でき上がりの半量
パスタ(リガトーニ)……140g
塩……適量
オリーブ油……適量
つくり方
鶏レバーのラグーをつくる
1.鶏レバーはハツを切り落とし、脂が多い場合は取り除く。厚みを半分に切って汚れや血の塊を取り除き、粗く刻む。

2.厚手の鍋にオリーブ油を鍋底に広がるまで注ぎ、にんにくとローズマリーを入れる。弱火にかけてじっくり火を通し、香りがたったらローズマリーを取り出す。

3.オリーブ油の半量をボウルに移して取っておく。赤玉ねぎ、にんじん、セロリ、塩1つまみを加え、カリカリになるまで炒める。

4.3で取っておいたオリーブ油をフライパンに注ぎ、1の鶏レバーを入れて強めの中火にかける。塩4つまみとローリエを加え、レバーの水分をとばすようにしっかり炒める。

5.白ワインを注ぎ、フライパンについた焦げをこそいで鍋に加える。

6.水をヒタヒタになるまで注ぎ、黒胡椒を加えて強火で煮る。

7.沸いたら中火にし、アクを取りながら約30分間煮込む。鶏レバーのラグーの完成!

パスタをゆでて、ソースと合わせる
1.鍋に水2Lと塩20gを入れて沸かし、パスタを袋の表示通りにゆで始める。
2.フライパンに鶏レバーのラグーとパスタのゆで汁少々を入れ、中火で温める。パスタがゆで上がったら水けをきってフライパンに加え、手早く混ぜ合わせる。器に盛り、仕上げにオリーブ油適量をかける。
教える人 井上雄一さん(『スポルカチョーネ』オーナーシェフ)

スポルカチョーネ


東京都世田谷区松原1-20-18
電話:03・6379・2869
営業時間:17時〜21時(最終注文)
定休日:水曜、木曜、日曜

取材・文/石出和香子 撮影/伊藤徹也











