12月31日には蕎麦を食べなければ年を越せないという人も多いのではないでしょうか。日本人とは切っても切れない蕎麦ですが、土地によって食べ方や具材など、さまざまに発展してきました。
そこで、今回は『サライ.jp』で紹介した、全国各地にある美味しいお蕎麦店についての記事をご紹介します。お店の営業時間などのデータは変更になっている場合がありますので、各店へご確認のうえお出かけください。
1:京都の老舗が提供する大きな“おあげ”が乗った蕎麦
京都ならではの蕎麦としてよく知られている「にしんそば」が人気の『松葉』は140年以上に及ぶ長い歴史を持つ京都の老舗蕎麦店です。ここでいただけるのが「たわらそば」。
中身がこぼれ出ないように俵のように縛られた“おあげ”がどんと置かれたあんかけの蕎麦で、その中身はというと開けてみてのお楽しみ。福袋のような感覚で楽しめるお蕎麦です。
140年以上続く京都の老舗『松葉』で味わう“美味の福袋”がどんと乗った話題の「たわらそば」
2:福島会津の名物蕎麦は、ネギがまるまる一本!
福島県会津地方、大内宿にある『三澤屋』の名物「ねぎそば」は、一度見たら忘れることのできない独創的な蕎麦。お蕎麦の椀に一本の長ネギが突き刺さっている、なんとも珍しい盛り付けです。
箸ではなくて、長ネギで蕎麦を食べるとどういう感じなのか、はたまた味はどんなふうなのかと、好奇心が刺激されることでしょう。
3:海藻をつなぎとした美しい翡翠色の新潟県の郷土蕎麦
新潟県魚沼地方の「へぎ蕎麦」は、海藻の「布海苔」(ふのり)を蕎麦のつなぎとして利用した滑らかな食感を持つ郷土蕎麦です。
新潟市内にある『越後へぎそば処 粋や』では、伝統のへぎ蕎麦をベースにして、現代の人々の嗜好に合うように工夫。視覚的にも魅力的なものにしようと、麺の中にポツポツと布海苔の欠片が見えるように作られています。
4:島根の名人が打つ、蕎麦なのにブツブツと短く切れる釜上げ蕎麦
長くつなげるためにさまざまな工夫が重ねられてきた蕎麦。にもかかわらず、島根の名店『ふなつ』の「釜上げ蕎麦」は、箸でつまんでみると麺の長さは4~5cm、あるいはもっと短いものもあるほど。名人と呼ばれる店主は「僕はブツブツと、短く切れる蕎麦粉が好き」なのだそう。
使用しているのは、かつて蕎麦好き大名の松江藩主、松平不昧公が将軍に献上した蕎麦として知られている奥出雲在来種。種実はとても小さいながら、風味に優れているのだそうです。
ブツブツと切れる蕎麦なのに評判! 出雲の名人が打つ極上の「釜上げ蕎麦」とは?
5:秋田県では、冷たい出汁でいただく冷やかけ蕎麦が人気
奥羽山脈の麓に広がる秋田県羽後町の中心部・西馬音内(にしもない)地区で食べられているのが「西馬音内そば」。熱々の汁を蕎麦にかける一般的な“かけ蕎麦”と違い、汁が冷たい“冷がけ蕎麦”です。
西馬音内そばの元祖『弥助そばや』は、文政元年(1818)の創業の老舗。土日にもなると、用意した蕎麦が早々に完売する名店です。
6:青森の伝統的な製法で作られる幻の蕎麦
青森県弘前で食べられる津軽蕎麦は大豆をすり鉢ですりつぶした「呉汁」(ごじる)を使うことで、蕎麦の甘みが増して、保存性もよくなるのだそうです。
明治初期創業の『野の庵』は、創業当時は茹でた蕎麦を箱に入れ天秤棒でかついで売り歩く「振り売り」を行なっていたという老舗。一度途絶えた津軽蕎麦の製法を平成13年に復活させ、現在もこの方法で作っています。
一度途絶えた伝統製法が復活。すりつぶした大豆を加えて打つ、甘み豊かな津軽蕎麦
7:福井を代表する美味が堪能できる変わり蕎麦
福井県民には蕎麦好きな人が多く、蕎麦店への要求水準も高いため、中途半端な味の蕎麦を供する店は、客が寄り付かず、淘汰されてしまうそう。店同士の競争も熾烈で、美味しい蕎麦を作ろうという意欲にあふれています。
そんな蕎麦店のひとつ『たからや』で提供しているのが「蟹豆乳そば」。エチゼンガニと福井在来の新そばが登場する季節だけの特別な味わいです。