肌寒くなる秋から冬にかけて旬を迎えるりんご。その旨さを包み、サクサクのパイ生地との調和を楽しむ「アップルパイ」が評判の店をご紹介します。
りんごを丸ごと包み込んで焼き上げた、季節限定のブールドロ
『ベイクドアップキョウコ』
ホテルやレストランでデザートの開発や調理指導に携わってきた一見恭子さん(59歳)が、昨年、自身の料理人人生の集大成として焼き菓子店を開いた。「その目玉です」と一見さんが胸を張るのが、北フランス地方でブールドロと呼ばれる、りんご丸ごと1個を焼き上げるアップルパイだ。
とっておきの紅玉ひとすじ
りんごは有機栽培と樹上完熟(※樹になっている状態で完熟させて、収穫すること。)を追求する長野県「善積農園」の紅玉を使用。「ほどよい酸味に甘みと潤み、そして強い旨みが特徴で、焼くとりんごがねっとりと仕上がるんです」と一見さん。りんごは、芯をくりぬき、表面にシナモンシュガーをまぶし、秘伝のソースをりんごの中に仕込む。それを畳んでは休ませることを繰り返した730層もの自家製のパイ生地で包めば、あとは焼くだけだ。焼きたてのパイにナイフを入れると、ザックリとした生地の中に鎮座したりんごがぷるんと揺れる。ジューシーさとシャリッとした食感をあわせ持つりんごと、パイが互いを引き立て合う。そこに八分立ての生クリームを絡めれば、よりまろやかな味わいに。紅玉の穏やかで心地よい酸味の余韻を残す。
ベイクドアップキョウコ(東京・武蔵野市)
東京都武蔵野市桜堤1-6-20-1
電話:0422・69・2892
営業時間:11時〜18時(商品がなくなり次第終了)
定休日:月曜、火曜
交通:JR中央線武蔵境駅より徒歩約15分
8席(テラス含む)
※この記事は『サライ』本誌2023年11月号より転載しました。