近鉄奈良駅や奈良公園から徒歩圏内の「ならまち」に美味処が増えている。

イタリアの伝統技法と日本の食材が融合する緻密なコース料理

フランス産鴨肉の炭火焼き、栗のソースと炒めた栗を添えて。鴨肉は火入れをして休めるという作業を繰り返し、絶妙の焼き加減に。

「厨房で肉を焼いているのが一番好きなんです」と笑顔で話す店主の栁川真美さん(52歳)。大正時代の商家を改装し、念願のイタリア料理店を開店した。店名には「郷土料理」の意味がある。

白を基調とするギャラリーのような開放的な店内で、ひとりで切り盛りする栁川さんは、新聞社勤務から専業主婦を経てイタリアに渡り料理修業。帰国後、東京のレストランで研鑽を積み、郷里で店を開くなら「ならまち」でと、4年ほどかけてこの建物を見つけた。

大和丸茄子の揚げ浸しと雲丹、幻の大豆・大鉄砲の湯葉、倭鴨の出汁を使ったジュレを合わせた奈良らしい前菜。

料理は前菜やパスタ、肉料理などのコースのみ。「シンプルで骨太な味が際立つのがイタリア料理」という言葉通り、食材の力を最大限に引き出すことに専念。そのために必要な細かな下ごしらえも手を抜かない。炭火でじっくり火を入れた鴨肉や、パスタとソースの絶妙な組み合わせなど、ひと皿ごとの料理の骨格がよく伝わる。

2年熟成させたじゃがいもとチーズを詰め物にしたラビオリ。南瓜のソースと大和牛のすね肉を地ビールで煮込んだラグー添え。

栁川さんは県内の生産者からも直接、食材を入手。なかでも野菜は驚くほどの旨味を持つと話す。イタリアの伝統料理と奈良をはじめとする日本の食材が結びつく斬新な郷土料理。イタリア産を中心とするワインのペアリング(5500円~)と合わせたい。

令和4年6月に開業。店内には坪庭があり、客席からは厨房で調理をする栁川さんの様子がわかる。予約は1日3組まで。

クチーナ レジョナーレ ヤナガワ(芝突抜町)

奈良市芝突抜町12
電話;0742・25・2305
営業時間:18時~23時
定休日:不定
交通:近鉄奈良駅から徒歩約14分
9席、要予約。コース1万3800円。4500円~、夜8000円~。

取材・文/関屋淳子 撮影/奥田高文

※この記事は『サライ』本誌2023年11月号より転載しました。

『サライ』11月号は大特集『奈良 新しき「仏像」の見方』

 

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