誰しもが憧れる「丁寧な暮らし」のイメージは、毎日手の込んだ料理をして、整った部屋でゆったりと食事をするというものではないでしょうか? 憧れに反して、仕事・子育て・勉強・介護などで忙しく、毎日の食事の支度に追われるのが現実。そこで、2016年に作りおきダイエットの大ブームを起こした、料理研究家・柳澤英子さんの著書『料理のその手間、いりません』から、柳澤さんが創意工夫を重ねて見出した「手間を省いてかろやかな気持ちで料理をするコツ」をご紹介します。

文/柳澤英子

栄養バランスがだいたい整えば、品数は少なくても問題ない

私のレシピ本などでは、基本的に主菜ひとつに副菜2品を組み合わせた献立をすすめています。いろいろな食材をとってほしいですし、この組み合わせなら、細かく考えなくても栄養バランスがある程度整うからです。

しかし、毎食必ず「主菜1+副菜2」を作らなければならないというわけではありません。「何品も作らなければならない」とか「献立には一汁三菜が必要」という意識は、台所の悪しき呪縛。栄養バランスがだいたい整えば、品数が少なくても問題はありません。

例えば、主菜に野菜が多めに入っていれば副菜を1品減らしてもOK。チキンソテーを作るなら、ついでにパプリカやズッキーニなどの野菜を一緒に焼いてつけ合わせにしてもいいでしょう。野菜やたんぱく質を一緒にとれる鍋料理は、1品だけで栄養バランスが整うのでとても便利です。

また、どうしても「あと1品増やしたい」というときは「切るだけ副菜」がおすすめ。冷や奴や、生野菜にみそやマヨネーズを添えるだけでも十分! 「これじゃ料理とはいえない」と思うようなものでも、おいしければ後ろめたさを感じる必要はありません。居酒屋さんだって、「冷やしトマト」が立派なメニューとして成立しているんですから。

【手間抜きポイント】
主菜に野菜がたくさん入っていれば副菜は減らしても大丈夫

乾物はわざわざ戻す必要はない

栄養素やうまみが凝縮された乾物。種類が豊富で日持ちするので、台所に常備している人も多いのではないでしょうか。しかし、商品によっては戻し時間が何時間もかかるものや、「戻し率」が設定されているものもあり、料理に慣れない人には少しハードルの高い食材かもしれません。

しかし、実は乾物は必ず水で戻さなくてはならないということはありません。調理の方法を工夫すれば、水に浸したまま何時間も待つことなく、おいしく食べられるんです。

基本的には、まずさっと洗って汚れを落とします。わかめなどを汁物に使う場合は洗ったらそのまま直接鍋に入れてOK! 切り干し大根もはさみで切ってさっと洗ってマリネ液に漬けてしまえば終わり。「はりはり漬け」のようなコリコリとした食感が楽しい1品ができあがります。

干ししいたけは、軽く洗って汚れを落としたら、全体がかぶるくらいの水に入れて2分ほどレンチンするだけ。加熱直後は完全に戻っていなくても、冷ましている間に戻るので心配いりません。時間がかかるイメージの高野豆腐は直接煮汁に入れて温めたら、そのまま放置。冷めると同時に煮含められた味になります。

【手間抜きポイント】
汁気のある料理に使うなら、さっと洗って、そのまま入れて

むやみやたらに調味料は揃えない

多くの家庭には長い間存在を忘れられ、思い出したときには賞味期限がすでに切れているかわいそうな調味料が少なからず眠っていると思います。おしゃれな瓶入りスパイス、旅行で買ったご当地ドレッシング、珍しいエスニック調味料……。使いきれないほどの数を所有するのは、お金とスペースの無駄です。定期的に確認し、長期間使っていないものはその日に使うか、思いきって処分しましょう。

調味料は、基本的に「さしすせそ」を揃えておけば大体の料理に対応できます。「さしすせそ」は「砂糖」「塩(こしょうもセットで)」「酢」「しょうゆ」「みそ」の5種類。私は糖質控えめの食事を心がけているので砂糖は使わず、甘味を出したいときには本みりんで代用しています。

個人的には、これにマヨネーズとポン酢をプラスするのがおすすめ。どちらもそれだけで味が決まるので、野菜と合わせるだけで1品できてしまいますし、他の調味料と混ぜてもおいしい! あとは好みに応じて、よく使う調味料を使いきれる分だけ常備しておけばよいでしょう。私は中華風の味つけが好きなので、豆板醤が欠かせません! 調味料を組み合わせるワザを身につけた方が、手軽に味のバリエーションが増やせますよ。

【手間抜きポイント】
眠っている調味料はすぐに使うか、思いきって処分を

* * *

『料理のその手間、いりません』(柳澤英子 著)
小学館

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料理研究家・編集者。2011年、52歳のときに食を楽しむ独自の食事法を始め、1年後には26キロ減の47キロに。その後リバウンドもなく太りにくい体質と健康をキープ。忙しい人でも苦にならずに作れる簡単レシピが好評。『ひとりごはん』『ふたりごはん』(ともに西東社)がロングセラーに。近著に累計260万部超の大ベストセラーとなった『やせるおかず 作りおき』シリーズ(小学館)、『映(ば)える!おいしい!こんにゃく食堂』(小学館)、『柳澤式ラクやせオートミールレシピ』(扶桑社)など。

 

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