誰しもが憧れる「丁寧な暮らし」のイメージは、毎日手の込んだ料理をして、整った部屋でゆったりと食事をするというものではないでしょうか? 憧れに反して、仕事・子育て・勉強・介護などで忙しく、毎日の食事の支度に追われるのが現実。そこで、2016年に作りおきダイエットの大ブームを起こした、料理研究家・柳澤英子さんの著書『料理のその手間、いりません』から、柳澤さんが創意工夫を重ねて見出した「手間を省いてかろやかな気持ちで料理をするコツ」をご紹介します。
文/柳澤英子
鍋はたくさんいらない
私は気になる調理道具は積極的に使ってみるタイプ。これまで新しいものに出合うたびに、いろいろと試してきました。それは鍋も例外ではありません。パエリアを作る専用鍋や、蒸し料理が得意なタジン鍋、熱伝導のいい鉄のフライパン、圧力鍋……。料理別に鍋を使い分けるほど買い揃えていた時期がありました。
しかし、鍋はかさばります。いろいろな鍋を揃えるほど、収納場所の確保に困るようになりました。また、用途の限られる鍋は出番が少なく、しまい込んだままにしがち。食材と一緒で使わなかったら無駄にしているのと同じなのです。結局行き着いたのが、大小のフライパン。大きい方は深型タイプを選べば、炒めたり、焼いたりはもちろん、ゆでたり、煮たり、揚げ物だって作れます。小さいフライパンは、さっと使えて洗うのもラク。
この2つがあれば、大抵の料理には対応できると気づきました。あとは煮込み料理を作りたくなったときに、厚手のホーロー鍋を使うくらいです。日頃よく使うものさえあれば、むやみに鍋をたくさん揃える必要はありません。フライパンは調理法が多彩なので、専用鍋が必要だと思いがちな料理でも、意外とフライパンだけでおいしく作れることも多いですよ。
【手間抜きポイント】
大小2つのフライパンで大抵の料理は作れます。
洗いカゴは必要ない
日々の洗い物、洗いカゴに入れたまま放置していませんか? 食器は洗いカゴに入れておいて、またそこから取り出して使う、を繰り返している人もいるかもしれません。しかし、きれいに洗った食器を入れているはずの洗いカゴは、水アカなどで意外と汚れやすいもの。そこに入れっぱなしにしておくのは、あまり衛生的ではありません。食器を放置しがちな人は、思いきって洗いカゴを取り払ってしまいましょう。
我が家には洗いカゴはありません。ある日、洗いカゴを洗いながら「この手間って無駄じゃない?」と感じたからです。現在は吸水性のいい水切りマットを使っています。普段は丸めておけば調理台のスペースが空いてスッキリ。食器を放置することもなくなりました。使用後は洗って、干すこともできるので衛生的。もちろん、ふきんやタオルでも代用することができます。
また、食器洗浄機もほとんど使わなくなりました。洗いカゴと同様、食器洗浄機自体を掃除するのが面倒だったのと、台所に置くタイプを使っていたので、かなりスペースを取り、調理台が狭くなるという悩みがありました。どんな道具も一長一短。日々の洗い物を振り返り、最もスマートに使える道具を選んでください。
【手間抜きポイント】
水切りマットやふきんなら使い終わったあともラク。
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『料理のその手間、いりません』(柳澤英子 著)
小学館
料理研究家・編集者。2011年、52歳のときに食を楽しむ独自の食事法を始め、1年後には26キロ減の47キロに。その後リバウンドもなく太りにくい体質と健康をキープ。忙しい人でも苦にならずに作れる簡単レシピが好評。『ひとりごはん』『ふたりごはん』(ともに西東社)がロングセラーに。近著に累計260万部超の大ベストセラーとなった『やせるおかず 作りおき』シリーズ(小学館)、『映(ば)える!おいしい!こんにゃく食堂』(小学館)、『柳澤式ラクやせオートミールレシピ』(扶桑社)など。