懐かしさを感じさせる薄くふんわり焼き上げた生地
西洋菓子 しろたえ(東京・赤坂)
『しろたえ』が東京の一等地、赤坂に店を構えたのは昭和51年のこと。出店の入れ替わりが激しい場所にもかかわらず、開店以来、ケーキ好きの絶大な信頼を集める西洋菓子の老舗である。
創業時から愛され続けるシュークリームは、薄くやさしい皮の中に、隙間がないほどたっぷりのクリームが隠れている。クリームは、カスタードと生クリームを4対1程度に合わせ、バニラビーンズを使わずにブランデーとリキュールで香り付けしている。口の中でふっと漂う洋酒の香りが、クリームの後味を上品にまとめる。
「生地には大量の全卵と北海道産の冷蔵バターを使っています。冷凍バターでは風味が損なわれますから。焼成前に絞るときに、流れ崩れる寸前ぎりぎりのやわらかさにすることで、口当たりの良いふわりとした仕上がりになります」
とシェフの川越拓さん(43歳)。作り置きはせず、注文の状況を見ながら店舗でその都度作っている。
店の前には行列が絶えることがない。45年を経て今なお支持されるシュークリームは、ひと口ほおばれば心がほっこりするやわらかさ。日本人が慣れ親しんだ原点の味といっても過言ではないだろう。
●西洋菓子 しろたえ
東京都港区赤坂4-1-4 電話:03・3586・9039 営業時間:10時30分~20時30分、祝日~19時30分(喫茶室は~19時・最終注文) 定休日:日曜 交通:東京メトロ銀座線・丸ノ内線赤坂見附駅から徒歩約3分
取材・文/関屋淳子 撮影/高橋昌嗣
※この記事は『サライ』本誌2021年12月号より転載しました。