赤や黒の漆で彩られた木製品は、先史時代から人々に重宝されてきました。赤は太陽の色、生命の色など神秘的かつ呪術的な意味合いが込められたとされ、縄文時代には櫛や腕輪、器などに赤い漆が塗られています。
黒はすべてを包み込む闇の色。赤とは対照的な色ですが、どちらも色という概念が誕生する前から人々の感覚に根差していた原初的なものといえます。
こうした赤と黒の漆工品「根来」。中世に花ひらいた、日本を代表する漆の美「根来」は、現代においても多くの人々の心をとらえてやみません。

サントリー美術館で開催の「NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし」は、伝来の確かな名品・名宝を一堂に会した展覧会です。(11月22日~2026年1月12日)
本展の見どころを、サントリー美術館の学芸員、大城杏奈さんにうかがいました。
「「根来」とは、堅牢な下地を施した木地に、黒漆の中塗と朱漆を重ねた朱漆器の様式・技法を指します。
中世に大寺院として栄華を極めた根來寺(和歌山県)で作られた、あるいは使われた器に因んで、江戸時代以降にこの名で親しまれるようになりました。
しかし、そもそも古代から中世にかけての朱漆器は、宮中や寺社などの高貴な場でしか使用することが許されませんでした。その特別な朱漆器が、根来の基礎となったのです。

寛正3年(1462)~天文8年(1539)頃 水戸大師 六地蔵寺
撮影:山崎兼慈 ◎展示期間12月17日~1月12日
本展では、「根来」という呼び名が定着する以前の時代である中世の赤と黒の漆工品にスポットを当て、中世の紀年銘を有する貴重な品や、普段人目に触れることのない寺社伝来の名宝を多数展示します。信仰の場と深く結びついてきた根来を一堂にご覧いただける、またとない機会となります。

惣社水分神社 写真提供:宇陀市教育委員会事務局 文化財課
◎通期展示(入替あり)

堺市博物館 ◎展示期間12月17日~1月12日
そして、根来はその堅牢さゆえに、長年の傷や摩耗によって、一点一点が赤と黒の個性的な景色を獲得します。その美しさは、江戸時代以降に民衆の生活に入り、多くの数寄者や文化人達に愛されました。この展覧会ではぜひお気に入りの根来を見つけて味わってください」

白洲正子、松永耳庵、黒澤明らの著名人が集めて生活の中で愛した「根来」や、現代美術家・杉本博司氏の「根来」を使った作品など、現代に息づく作品も展示されます。会場でじっくりご堪能ください。

【開催要項】
NEGORO 根来 — 赤と黒のうるし
会期:2025年11月22日(土)~2026年1月12日(月・祝)
※作品保護のため会期中展示替あり
会場:サントリー美術館
住所:東京都港区赤坂9-7-4 東京ミッドタウン ガレリア3階
電話:03・3479・8600
公式サイト:https://www.suntory.co.jp/sma/
開館時間:10時~18時、金曜日及び1月10日(土)は~20時(入館は各閉館30分前まで)
休館日:火曜日(ただし1月6日は18時まで開館)、年末年始(12月30日~1月1日)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝











