清らかな湖畔、新緑の輝き、燃え立つ紅葉、そして霧に包まれる雄大な山岳など、日本各地を旅して自然が織りなす景色を丹念に描き続けた東山魁夷(1908-1999)の作品は、私たちに普遍的な美意識と時を超えた共感をもたらし続けてきました。
また、彼がヨーロッパや中国を旅し、その目を通して描いた風景画も独自の視点と彩りを見せています。

福田美術館で開催の「東山魁夷と風景画の旅 ――日本から世界へ――」展は、福田美術館が所蔵する魁夷の名品を一挙公開します。(2月1日~4月13日)
本展の見どころを、福田美術館の担当学芸員、岡田秀之さんにうかがいました。
「東山魁夷は「国民的画家」と謳われた、戦後を代表する風景画家です。彼は旅をこよなく愛し、日本国内だけでなくヨーロッパ各地も訪れました。風景と真摯に向き合った魁夷の作品は、日本人の自然観を反映させた普遍的な美しさがあると高く評価されています。

本展では福田美術館で初公開となる、京都の修学院離宮を描いた《夕涼》をはじめ、ドナウ川を見下ろすような構図で捉えた《青きドナウ》など、当館が所蔵する魁夷の風景画の名品約30点に加え、京都の円山公園に咲く「祇園しだれ桜」に取材した《花明り》(株式会社大和証券グループ本社蔵)を特別にご覧いただきます。

また、西洋の近代風景画の基礎を築いたカミーユ・コローや、印象派を代表するクロード・モネなど海外の画家の作品も展示。さらに、彼らに憧憬し新たな画風を確立した横山大観や菱田春草らの優品もご紹介いたします」

風景画の歴史を辿ることもできる展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
東山魁夷と風景画の旅 ――日本から世界へ――
会期:前期2025年2月1日(土)~3月3日(月) 後期3月5日(水)~4月13日(日)
会場:福田美術館
住所:京都府京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
電話:075・863・0606
公式サイト:https://fukuda-art-museum.jp/
開館時間:10時~17時(最終入館16時30分)
休館日:2月18日(火)、3月4日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝
