千年以上の歴史をもつドイツ・ザクセン州の古都、マイセン。ザクセン選帝侯のフリードリッヒ・アウグスト1世(1670-1733)は熱心な東洋磁器愛好家で、王の命により王立磁器製作所が設立されたのは1710年のことでした。17世紀の佐賀県・有田で生産された「柿右衛門様式」の色絵を愛するアウグスト1世の願いが叶い、マイセンの地でも色絵による硬質磁器が作られるようになります。
ヨーロッパ初の硬質磁器焼成に成功したマイセンは、その伝統を受け継ぎ、現在に至るまで数多くの名品を世に送り出しています。

1994年 個人蔵
装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
泉屋博古館東京で開催の特別展「巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)―現代マイセンの磁器芸術―」は、現代マイセンを代表するアーティストのひとり、巨匠ハインツ・ヴェルナーの創造した名作を中心に紹介する展覧会です。(8月30日~11月3日)
本展の見どころを、泉屋博古館東京の主任学芸員、森下愛子さんにうかがいました。
「ヨーロッパを代表する名窯、マイセン。ドイツ、マイセンの地で18世紀に王立の磁器製作所として創業し、ヨーロッパ初の硬質磁器焼成に成功しました。
1960年、マイセン磁器製作所は創立250年を迎え、アーティスト達のためのアトリエを設けます。アーティストのひとり、巨匠ハインツ・ヴェルナー(1928-2019)は、夢の世界へと誘う魅力的なデザインで、現代マイセンを代表する数々の名品を生み出しました。

1974年頃~ 個人蔵
装飾:ハインツ・ヴェルナー 器形:ルードヴィッヒ・ツェプナー
《サマーナイト》は、イギリスの劇作家ウィリアム・シェイクスピアによる喜劇『真夏の夜の夢』から着想を得た作品。森の妖精や動物たちが楽しげに描かれる本作は「生きる喜び」をテーマにしたハインツ・ヴェルナーの代表作品の一つです。

1964年頃~ 個人蔵
装飾:ハインツ・ヴェルナー
器形:エアハルト・グローサー、アレクサンダー・シュトルク、ルードヴィッヒ・ツェプナーの共作
《ほら吹き男爵(ミュンヒハウゼン)》は、日本でも知られている物語で、ハインツ・ヴェルナーは様々な場面を切り取り、男爵のおかしな冒険談を魅力的に表しました。
本展覧会では、ハインツ・ヴェルナーが手がけた作品を通して、その魅力を感じていただけるでしょう。彼が創作した名作を中心に、現代マイセンの美しき磁器芸術をご紹介します」

1973年頃~ 個人蔵
装飾:ハインツ・ヴェルナー、ルディ・シュトレ 造形:ペーター・シュトラング
マイセン愛好家ならずともその華麗な美しさに魅了される展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。
【開催要項】
特別展 巨匠ハインツ・ヴェルナーの描いた物語(メルヘン)―現代マイセンの磁器芸術―
会期:2025年8月30日(土)~11月3日(月・祝)
会場:泉屋博古館東京
住所:東京都港区六本木1-5-1
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル)
公式サイト:https://sen-oku.or.jp/tokyo/
開館時間:11時~18時、金曜日は~19時(入館はいずれも閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし9月15日、10月13日、11月3日は開館)、9月16日(火)、10月14日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照
取材・文/池田充枝
