マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」が、ビジネスの最前線の問題を解説するシリーズ。
マネジメントをしていく上で、「部下に縛りなく自由にやらせてあげたい」「自由な社風を大事にしていきたい」と考える方も多いのではないでしょうか?
一方で、自由に楽しく取り組んでもらう環境を心掛けているが、結果として、
・思ったようにチーム全体の成果が上がってこない
・チーム内で前向きな議論というよりはお互いの言い分の言い合いが増えた
・取り組みに対して、納得してもらうまでに説明する時間がかかる
といった課題感を感じることもあると思います。
今回は自由とは真逆の印象でもある、ルールの必要性について考えていきます。
ルールがないことが自由なのか?
「ルール」という言葉にどんな印象をお持ちでしょうか?
「縛られる」「自由がない」といったネガティブな印象をお持ちの方も多いと思います。だからこそ、「自由」な社風を目指すとして、ルールを作らない方が良いのでは、と考えているリーダーもいらっしゃるのではないでしょうか。
しかし、「ルール」がないことが本当の意味での自由となっているのでしょうか?
みなさんのご経験の中で、上司とのやり取りで、「自由にして良い」と言われたのに、ふたを開けてみたら、「これはダメ」「ここを修正して」など指摘が入ったという経験はないでしょうか?
つまり、自由と言ってルールが示されていなかったとしても、暗黙のルールが存在していたことを後から指摘されている状態です。これでは、「自由」と言われた方が逆にストレスになってしまいます。
交通ルールがあるから安心して道を歩けることと同様に、組織運営においても、ルールがあるからこそ、メンバーが迷いなく仕事に集中できるようになるということです。
ルールを定める上で重要なポイント1:明確である
では、ルールを定める上で注意すべきポイントについても解説します。
1つ目は、「明確である」ことです。
ルールを設定していても、設定内容が曖昧だと、
上司「しっかりとルールを守ってください」
部下「いや、守っていましたよ」
というように、お互いのルールの解釈の違いによって、コミュニケーションが必要以上に生じてしまいますし、部下にとっても、何を守ればよいのかが不明確でストレスになってしまいます。
明確なルールとは、例えば、「10kmを60分以内で走る」というように、期限と状態が明確で、人によって解釈がズレない文言で設定する必要があります。
一方、「10kmを全力で走る」としていた場合、人によって“全力”の解釈が異なるため、明確とは言えません。他にも、「急いで」「なる早で」「意識します」「徹底します」「頑張ります」などが解釈のズレやすい表現となります。
ルールの文言だけでなく、目標設定や日常での上司から部下への指示、他部署・他社への依頼などもこのように解釈がズレないやり取りを心掛けていく必要があります。
ルールを定める上で重要なポイント2:ルール決定者が決まっている
ルールを定める上での注意すべきポイントの2つ目は、「ルールの決定者が決まっている」ことです。
・会社全体のルールであれば、社長
・部全体のルールであれば、部長
・課全体のルールであれば、課長
というように、それぞれのルールにおいて決定者が誰かが明確になっていることが重要です。
その上で、今のルールのままでは、自身の成果を上げていく上で不都合となってしまうなど、自分の役割を果たす上でルールを変更してほしい場合には、ルール決定者にルールの変更を上申していくことも重要です。
社内のルールが増えてくると、誰に確認したらよいかが分からず、結果的にルールが形骸化してしまうことも多くあります。そうならないためにも、ルールの決定者を明確にして、決定者が責任をもってルールを運用していく必要があります。
特に部署を跨いでルール展開されているものなどは、定期的に部署の責任者で横断的なルールが形骸していないかを確認していく定例会を開いていくことも有効です。
ルールの範囲内で「自由」が成立する
ここまで、ルールの設定の仕方から形骸化しないための運用について、解説してきました。
ネガティブな印象を持ちやすい「ルール」という言葉ですが、「ルール」がない、もしくは曖昧であるが故に必要以上のストレスがかかったり、本来不要なコミュニケーションが必要になったり、組織としても目標達成に対して、時間がかかってしまいます。
「ルール」によって何もかもを縛るわけではありません。 「ルール」の範囲内においては、「自由」が存在するわけなので、むしろ、「ルール」の中で自由に発想し、アイデアを出していくことが必要です。
明確なルールによってこそ、組織の成果最大化につながる
組織として存続していくためには、組織としての成果を出し続けなければなりません。成果を出し続けると言っても、もちろん、失敗することもあるでしょう。しかしながら、失敗しても、その原因をいち早く追及して、修正を繰り返していくことで、正解に近づいていくように変化し続ける必要があります。
明確なルールがない組織では、それぞれがぞれぞれの考えで自由に進めていった結果、何が組織として修正すべき根本原因なのかが不明瞭になりがちであり、組織としての修正スピードが遅れてしまいます。
明確なルールが設定されているからこそ、メンバー一人ひとりがやるべきことが明確となり、組織として失敗したとしても、何が原因かがすぐに明らかになるため、修正するスピードも速くなり、結果として、組織としての目標達成の可能性が高まっていきます。
まとめ
「ルール」という言葉のネガティブな印象と「自由」という言葉のポジティブな印象から、ルールがなく自由な組織を目指した方が組織の成果に繋がりやすいと感じるかもしれません。
しかしながら、あくまで一定のルールを定めた上で、ルールの範囲内で「自由」が存在するとした方が、部下に不必要なストレスを与えることなく、業務に集中させることができ、組織としても修正スピードが上がるため、組織の成果に繋がりやすいと言えます。
みなさまの組織においても、あまりルールがないという組織であれば、暗黙のルールになってしまっているルールを明文化すること、ルールがあるけど曖昧になってしまっている組織であれば、明確化していくことに取り組んでみてください。
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