どの業界でも人手不足といわれる日本では、優秀な人材をいかにして獲得するかが喫緊の課題となっています。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、ヘッドハンティングについての知見を得ましょう。

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現在、優秀な人材を獲得する採用手法として「ヘッドハンティング」が話題になっています。

ヘッドハンティングはもともとアメリカで話題になっていた採用手法で、現在では日本でも一般化してきた印象があるでしょう。しかし、実際に自社の採用活動として実践するとなると、どのように進めればいいのか分からないという人も多いはず。

そこで本記事では、マネージャーや人事担当者向けにヘッドハンティングについて解説していきます。

ヘッドハンティングとは?

ヘッドハンティングは、優秀な人材をスカウトして直接採用する手法を指します。

もともとは、新卒一括採用が普及していない欧米で一般的だった採用手法で、一般的には経営者・幹部・技術職がターゲットとなります。現在もシリコンバレーでは、優秀なエンジニアの獲得競争がヘッドハンティングを通じて行われているようです。

同じように日本でも、経営者・経営幹部・エンジニアを中心に、ヘッドハンティングによる人材獲得競争が実施されるようになっています。

引き抜きとの違い

ヘッドハンティングに似た言葉として「引き抜き」が挙げられます。

引き抜きは、他社の優秀な人材を直接または間接的に自社へ誘致することを指します。一方のヘッドハンティングは、最初に特定の職種や適任者を明確にしたあとに、それに適した人材を探して、直接採用します。

つまり、引き抜きはその場の流れや偶発性のある出会いの中で採用が決定することがあるのに比べて、ヘッドハンティングは明確な目標の下で計画的に実施されることが多いのです。

ヘッドハンティングと引き抜きの違いは、計画性と戦略性の有無にあると言えるでしょう。

スカウトとの違い

ヘッドハンティングに似た言葉として、「スカウト」も挙げられます。

スカウトは、企業が求めるスキルや職種の人材に対して求人情報を提供することを指します。例えば、新卒採用時に大学のOBが後輩に対して求人情報を提供するのがスカウトです。ただし、ヘッドハンティングほど業種や役職が明確に定められることはありません。

スカウトは、ヘッドハンティングに比べて一般的かつオープンな採用手法だと言えます。

ヘッドハンティングが注目されている理由3選

ヘッドハンティングが注目されている理由は以下の3つです。

・労働人口が減少しているから
・専門職のニーズが大きくなっているから
・後継者不足問題が深刻だから

それぞれ詳しく解説していきます。

理由(1):労働人口が減少しているから

ヘッドハンティングが注目されている理由として、まず挙げられるのが労働人口の減少です。

現在、日本は少子高齢化社会に突入しており、それに伴い、労働人口が減少傾向にあります。そのため、企業としては、数で押し切るのではなく、従業員の質を求める必要があります。その際に有効なのが、優秀な人材を直接獲得できるヘッドハンティングです。

ヘッドハンティングは、少子高齢化社会による働き手不足に対抗できる数少ない採用手法だと言えるでしょう。

理由(2):専門職のニーズが大きくなっているから

ヘッドハンティングが注目されている理由として、専門職のニーズが大きくなっていることが挙げられます。

先ほども述べた通り、日本は少子高齢化社会に突入しているため、自社のDXを推進できるIT人材が必要不可欠です。また、近年はAIの進化が凄まじく「何でもできる人」のニーズが大きく減少し、専門性の高いニッチ人材のニーズが大きくなっているという背景があります。そして、ニッチ人材は多くの場合、一般的な労働市場には出てきません。そのため、自社が動いて直接採用する必要があります。

専門職を確実に獲得するアプローチとして、ヘッドハンティングが選ばれているのです。

理由(3):後継者不足問題が深刻だから

ヘッドハンティングが注目されている理由として、後継者不足問題が挙げられます。

少子高齢化社会で経営者が高齢になっており、かつ若年層が育っていないことから、後継者不足が社会問題になりつつあります。そこで、注目を集めているのがヘッドハンティングです。

ヘッドハンティングであれば、「この人なら信頼できる」という目利きを自分で出来るので、確実に後継者を獲得することができます。

今後、伝統工芸の職人などだけでなく、数多くの個人事業でも後継者問題が噴出すると思われるので、ヘッドハンティングのニーズはこれからも大きくなると考えられます。

ヘッドハンティングの3つのメリット

ヘッドハンティングのメリットは以下の3つです。

・転職潜在層にアプローチできる
・自社が求める人材を確実に獲得できる
・あらゆるアプローチで採用活動できる

それぞれ詳しく解説していきます。

メリット(1):転職潜在層にアプローチできる

ヘッドハンティングの最大のメリットは、転職潜在層にアプローチできることです。

日本のビジネスSNSのYOURTRUSTが実施した「求職者・候補者の転職意識の実態」によると、実際に転職活動を行っている転職顕在層が9.5%なのに対し、転職潜在層、つまり転職を検討している段階の人は顕在層の約7倍の61.1%になっているとのことです。

転職潜在層は転職市場に出てこないため、一般的な採用手法ではアプローチできません。一方で、採用側がガンガン動くヘッドハンティングであれば、十分にアプローチ可能です。

一般的な採用手法の約7倍の人々にアプローチできるのがヘッドハンティングの強みです。

メリット(2):自社が求める人材を確実に獲得できる

ヘッドハンティングは、自社が求める人材を確実に獲得できるのがメリットです。

ヘッドハンティングは、保有スキルや職種を決めてから採用活動に乗り出すので、自社が求める人材のみに絞って採用活動を行うことができます。

自社が求める人材を確実に獲得したい時や、特定のスキルや条件の人材を求める時は、ヘッドハンティングを用いるのがいいでしょう。

メリット(3):あらゆるアプローチで採用活動ができる

ヘッドハンティングは、あらゆるアプローチで採用活動を実施できるのが強みです。

一般的な採用活動は、多くの場合、採用系のメディアに求人情報を掲載したり、ビジネス系のイベントに参加したりすることで実施されます。

一方のヘッドハンティングは、担当者の権限委譲してしまえば、あらゆるシチュエーションで採用活動を実施することが可能です。極論を言えば、ナイトクラブやキャンプ場でも、採用活動を実施できてしまいます。

シリコンバレーではカフェでプロジェクトが決まってしまうことも多く、ヘッドハンティングは、それに似た感覚だと言えるでしょう。

ヘッドハンティングの3つのデメリット

ヘッドハンティングのデメリットは以下の3つです。

・採用コストが高くなる
・採用期間が長くなる
・担当者の負担が大きくなる

それぞれ詳しく解説していきます。

デメリット(1)採用コストが高くなる

ヘッドハンティングのデメリットとして、採用コストが高くなることが挙げられます。

例えば、自社のリソースではなく、外注して専門のヘッドハンターに依頼する場合、成功報酬型になると一般的な採用者の年収の30%ほどがコストになってしまうそうです。

また、自社だけでヘッドハンティングを実施する場合は、お金はかからないかもしれませんが、莫大な時間と労力を要する場合があります。

ヘッドハンティングは希少人材を獲得する採用手法なので、採用コストが高くなるのは否めないでしょう。

デメリット(2):採用期間が長くなる

ヘッドハンティングのデメリットとして、採用期間が長くなることが挙げられます。

ヘッドハンターに依頼する場合に、候補者のリサーチ、スカウト、面接に時間がかかってしまうからです。また、自社が求める人材を明確にする分、それが希少人材になると、リサーチに時間がかかります。

ヘッドハンティングを実施する際は、人材が必要になるタイミングを考慮して、早めにスタートするのがいいでしょう。

デメリット(3):担当者の負担が大きくなる

ヘッドハンティングは、担当者の負担が大きくなるのがデメリットです。

候補者のリサーチやスカウトだけでなく、面接、契約なども実施しなければならないので、多くの業務をこなす必要があります。

ヘッドハンティングを実施する際は、人事部のリソースを考慮する必要があるでしょう。

ヘッドハンティングが有効なケース3選

ヘッドハンティングが有効なケースとして、以下の3つが考えられます

・ニッチな人材を獲得したい場合
・自社の知名度が低い場合
・人材争奪戦が激しい場合

それぞれ詳しく解説していきます。

有効なケース(1)ニッチな人材を獲得したい

ヘッドハンティングはニッチな人材を獲得したい場合に有効です。

ニッチな人材は、一般的な労働市場に出てくることが少なく、さまざまなアプローチを用いて、直接採用する必要があります。

ニッチな人材を獲得したいのであれば、ヘッドハンティングを活用するのがいいでしょう。

有効なケース(2)自社の知名度が低い

ヘッドハンティングは、自社の知名度が低い場合に有効です。

ヘッドハンティングは事実上の「営業」なので、自社の知名度が低くても、営業力さえあれば、優秀な人材を獲得できる可能性があります。

まだ実績がないスタートアップで従業員を雇用する場合は、ヘッドハンティングがおすすめです。

有効なケース(3)人材争奪戦が激しい

ヘッドハンティングは、人材争奪戦が激しい場合に有効です。

例えば、世界屈指のAI研究者であるイリヤ・サツキヴァー(OpenAI創業者の1人)は、AI関連企業であれば喉から手が出るほど欲しい人材で、CEOによるヘッドハンティング以外に、獲得する手段はないと言っていいでしょう。

このように人材争奪戦が激しい場合は、ヘッドハンティング以外の採用手法を探す方が難しいのです。

ヘッドハンティングの実施手順

ヘッドハンティングの実施手順は以下の通りです。

(1)自社が求める人材を明確にする
(2)ヘッドハンティング会社・ヘッドハンターに依頼する
(3)候補者と面談する
(4)勤務条件をすり合わせる
(5)内定を決定する

それぞれ詳しく解説していきます。

(1):自社が求める人材を明確にする

まずは自社が求める人材を明確にします。

ヘッドハンティングの場合、経営者や幹部クラスの人材を雇用するのが一般的です。例えば、CFO(最高財務責任者)クラスの人材を獲得するにしても、資金調達を強くしたいのか、財務管理を強くしたいのかで求められる人材は大きく異なります。

自社が求める人材は、可能な限り明確にしておくのがいいでしょう。

(2):ヘッドハンティング会社・ヘッドハンターに依頼する

自社が求める人材を明確にした後は、ヘッドハンティングを専門に行う企業や、ヘッドハンターに依頼するのがいいでしょう。もちろん、自社のリソースだけでヘッドハンティングを実施する場合は、外部に依頼する必要はありません。

ヘッドハンティングは自社にとって非常に重要な人材を獲得できるか否かがかかっているとも言えます。自社がやるべきか専門企業に外注するかの見極めは非常に重要でしょう。

(3):候補者と面談する

ヘッドハンティングで候補者を絞った後は、その候補者との面談を実施します。

この際に、お互いの条件や要求を確認します。後になって認識のズレが起こると、入社後すぐに離職してしまうことも含め、採用そのものが失敗に終わる可能性があります。面談ではありのままの事実だけを述べるようにしましょう。

(4):勤務条件をすり合わせる

候補者の転職意向が高まってきたら、勤務条件をすり合わせていきます。

契約期間・報酬・福利厚生などを決定しましょう。近年は複数の企業の幹部を兼任するケースも増えているので、柔軟な勤務条件を提供できるようになると、有利にヘッドハンティングを進められるようになります。

(5):内定を決定する

勤務条件で合意が得られたら、そのまま内定を決定します。

内定から入社までの間は、入社日の調整や、現職の退職フォローも実施して、万全な体制で候補者を受け入れられるようにするのがポイントです。また、内定後フォローも手厚く行い、トラブルによる内定辞退を極力回避するようにしましょう。

まとめ

それでは本記事をまとめていきます。

・ヘッドハンティングは優秀な人材をスカウトして直接採用する手法
・ヘッドハンティングは自社の知名度が低い状態でも、営業力次第で、優秀な人材を獲得できる
・ヘッドハンティングは総じてコストが高くなりがち

少子高齢化が進み、優秀な人材の獲得戦が繰り広げられている日本社会において、ヘッドハンティングのニーズが非常に大きくなっています。そして正確に言えば、これは日本社会に留まらず、世界中の企業による優秀な人材の争奪戦が繰り広げられていると言えます。優秀な人材を獲得する手段として、ヘッドハンティングは必要不可欠でしょう。

【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
・コンサルタント紹介はこちらから https://corp.shikigaku.jp/introduction/consultant

引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/

 

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