若手人材の育成に悩んでいる管理職の方は多いと思います。ジェネレーションギャップの問題であるとか、仕事に対する意識変化など様々な要因はあるでしょうが、「部下の育成(人材育成)」については避けては通れないことではあります。
株式会社ラーニングエージェンシーが、管理職1,070人を対象に「管理職の意識調査」を実施して、その結果について公表しておりますのでご紹介いたしましょう。あなたの「部下の育成」のヒントにしていただきたいと思います。

■永遠のテーマか? 管理職の悩みは「部下の育成」

▷管理職の悩み1位は5年前と変わらず「部下の育成」。5年前より10%増加し半数超え

管理職としてどのような悩みを持っているかを尋ねたところ、最も多かったのは「部下の育成(50.5%)」という結果になっています。
2014年に実施したアンケート調査でも、「部下の育成」が悩みの1位となり、時代が変化しても管理職を最も悩ませ続けている課題であることがわかりました。
さらに、5年前の調査で「部下の育成」に悩んでいると答えた管理職は約40%でしたが、今年は10%も増加、半数以上の管理職が部下の育成に悩んでいる実態が明らかになりました。
また、今回の調査では「部下の育成」に続く悩みとして、2位「チーム・部門の運営(24.9%)」、3位「時間の不足(21.7%)」となりました。なお、5年前のアンケートでは、2位「時間の不足」、3位「部門の成果達成」と続き、今年の調査で2位だった「チーム・部門の運営」は5位でした。

▷「部下があまり成長していない」と感じている割合は5年前の約3倍。「部下が成長している」と感じている管理職は減少傾向

部下の成長度合いをどう感じているかの質問に対しては、「成長している(57.8%)」という回答が最も多かったものの、5年前の69.6%から10%以上減少しています。次いで多い回答が「あまり成長していない(27.9%)」となり、5年前の8.8%から約3倍という結果になりました。部下の成長を実感している管理職の割合は、下降傾向にあるようです。

■「部下の育成」には管理職としてのコミュニケーション能力が試される

▷「部下が非常に成長している」と感じている管理職は、部下とのコミュニケーション時間が長い傾向

部下との月間のコミュニケーション時間を見ると、最も多かったのは「2~5時間程度」で41.3%、次いで「1時間程度」が24.4%となり、月間のコミュニケーション時間は5時間以下という回答が全体の6割を超えています。なお、この設問に関しては、回答の内訳(割合)が5年前とほぼ同じ結果となりました。

また、部下の成長度合い別に部下とのコミュニケーション時間を見てみると、「部下が非常に成長している」と回答した管理職は部下とのコミュニケーション時間が6時間以上の割合が45.8%となり、その他の回答者よりもコミュニケーション時間を長く取っている傾向が見られます。

今、テレワーク中の課題として“コミュニケーション不足”を挙げる企業が増加しています。
今後働き方が変わることによって、企業におけるコミュニケーションの取り方が変わるであろうこと、そして環境の変化が激しく見通しの立てにくい今だからこそ、従業員一人ひとりの成長が会社にとって必要不可欠であることからも、管理職は部下とのコミュニケーションの在り方を見直し、部下の成長を促進することが必要ではないでしょうか。

■部下を育てるコミュニケーションとは? 管理職に求められているのはコミュニケーション「方法」の見直し

今回の調査を通じ、管理職にとって「部下の育成」が時代を問わず悩ましい課題であることが改めてわかりました。部下育成に悩みを抱える管理職の割合が5年前と比べ10%増加し、「部下があまり成長していない」との回答が約3倍になったことからも、時代の変化とともに「育成の仕方」についても変化対応が求められていると感じます。
そういった中、「部下の成長を感じている管理職ほど部下とのコミュニケーション時間が長い」傾向が見られたことは一つ、解決の糸口となりそうです。

一方、悩みの順位を見ると、「部下とのコミュニケーション」が5位とそこまで高くないにもかかわらず、「チーム・部門運営」への課題が2位に挙がっています。このことから、1対1のコミュニケーションはできるが、「チーム・部門」という1対Nのコミュニケーションに課題を感じていると捉えることもできます。苦手な1対Nのアプローチを避け、一人ひとりの説得や合意形成を図るという手段を選択してしまうことが、悩みの3位に入ってくるような「時間の不足」を生み出す要因の1つになっているのかもしれません。

*****

今回、「部下の成長」と「コミュニケーション時間」に関連性が見えたことからも、部下とのコミュニケーション時間の確保は管理職にとって重要な課題といえます。
今後は、リモートワークを取り入れる企業が多くなっていく中、1対1のコミュニケーション時間の確保はもちろんのこと、1対Nで成果に向かってチームを率いるスキルを身につけることが、効率的なチーム・部門運営を行うために求められます。

【調査概要】
管理職の意識調査
調査対象者 当社が提供する管理職向け研修の受講者
調査時期 2019年12月16日~2020年3月27日
サンプル数 1,070人

【属 性】
(1)性別
①男性:83.6%(894人)
②女性:15.4%(165人)
③不明:1.0%(11人)

(2)業種
①建設業:4.4%(47人)
②製造業:19.0%(203人)
③電気・ガス・熱供給・水道業:1.0%(11人)
④情報通信業:20.7%(222人)
⑤運輸業、郵便業:2.5%(27人)
⑥卸売業、小売業:10.0%(107人)
⑦金融業、保険業:2.8%(30人)
⑧不動産業、物品賃貸業:2.2%(24人)
⑨学術研究、専門・技術サービス業:5.9%(63人)
⑩宿泊業、飲食サービス業:1.4%(15人)
⑪生活関連サービス業、娯楽業:1.6%(17人)
⑫教育、学習支援業:0.7%(7人)
⑬医療、福祉:4.8%(51人)
⑭複合サービス事業:1.5%(16人)
⑮サービス業(ほかに分類されないもの):12.5%(134人)
⑯その他:9.0%(96人)

(2)所属企業の従業員数規模
①1人~50人:7.6%(81人)
②51人~100人:18.3%(196人)
③101人~300人:43.9%(470人)
④301人以上:27.5%(294人)
⑤不明:2.7%(29人)

 

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