京都のうまいもんを知り尽くした日本文化プロデューサー・中村暁さんが、普段使いのお店や食材たちを紹介する新連載。今回ご紹介いただくのは、会席料理でもおばんざいでもなく、この美味しそうなフルーツサンドです。
ここ最近、人生の「セカンドステージ」を迎えた方々が、京都にマンスリーマンションを借りたり、セカンドハウスとしてマンションを購入したりして、長期滞在して京都を愉しもうとすることが増えているという。そうなれば「食」についても、普段使いのお店を探したり、キッチンに立つべく食材を買って来たりすることも増えるだろう。この連載は、そんなふうに京都を普段着で愉しみたい方々のための、とっておきの「うまいもん帖」である。
さて、今回最初にご紹介したいのが『クリケット』のフルーツサンドである。
北野天満宮の西、西大路通に面した平野神社の向かいに、創業42年になるフルーツパーラー『クリケット』がある。元々、京都中央市場の青果卸商だったところが、美味しいフルーツを食べさせるパーラーとしてオープンした店で、京都ではグレープフルーツゼリーの草分けとして知られる。
「クリケットゼリー」と称するグレープフルーツ、オレンジ、レモンの果汁いっぱいのゼリーが評判を呼び、その美味しさから我が家でも贈り物の定番になっている。
もう一つのお気に入りが、食べ頃のフルーツをたっぷり使った「フルーツサンド」。ランチにしたり、遅めのブランチで珈琲と共に頂く。テイクアウトも可能なので、家で愉しむのもよい。これを食べると、いつでも幸せ感いっぱいになるのが不思議である。
夏の繁忙期(7月~8月中旬)はゼリーのギフト対応のためお休みになるので、食べられるのは秋に入ってから。フルーツも収穫期の旬のものがふんだんにあしらわれており、正に“今”が食べ時である。
【フルーツパーラー・クリケット】
■住所:京都市北区平野八丁柳町68-1サニーハイム金閣寺(西大路通り西側 平野神社向い)
■TEL/FAX :075-461-3000
■営業時間 : 10:00~18:00
■定休日:不定休
http://www.cricket-jelly.com/
※価格は税込み
文/中村 暁
日本文化プロデューサー。1955年、京都生まれ。伝統芸能をはじめ日本文化を様々な切り口からプロデュースする。日本の食文化についても興味が深く、素材を求めて生産者まで足を運び、自ら台所に立つことも多い。暮らしのスタイルは季節を感じて日本人らしくがモットー。