文・写真/中村暁
前回(「京の街中で味わえる抜群に旨いコロッケ!北野『山田コロッケ』の黒毛和牛コロッケ」)に引き続き、今回も気軽にテイクアウトできる京都の旨い店を紹介しよう。
京都人はとにかく牛肉が好き。年間消費量が全国1,2を争うほどで、だから京都で「肉」といえば「牛肉」を指す。これは優良な産地が近く、近江、但馬、松阪などブランド牛が手に入り易いことも要因の一つと考えられる。端的なのがカツレツで、豚カツよりビフカツが好まれる土地柄である。
今回紹介するお店は京都中央卸売市場から近い七条通にある「お肉の大川」。プロの料理人も通うお店が軒を並べる商店街の一画にある。
創業40数年、ずっと黒毛和牛にこだわり続けてきた。ご主人の大川弘孝さんは大変な肉の目利きで、その時々で一番よい肉を産地にこだわらず仕入れている。
10年程前から肉屋のフライものの定番、コロッケ、カツなどに加えて、ビーフかつサンドやてりやきごはんなど、持ち帰ってそのまま食べられるメニューを売り出した。これは、かつてステーキハウスをやっていた弟さんが調理場に入り、黒毛和牛を使ったメニューにアイデアを注いでメニューを増やしていったことに起因する。その結果、ボリュームたっぷりのビーフかつサンドが特に大人気になったとのこと。
名物のビーフかつサンドもよいが、私のイチ押しは「てりやきごはん」だ。黒毛和牛の薄切り肉を使っているが、余分な脂を除いてコクがありながらさっぱりした食感が魅力だ。加えて、自家製の特製たれが抜群に旨い。このたれの甘辛味のおかげで、後を引く美味しさが醸し出されている。お肉の量もたっぷりで、一食のお腹を満たすボリュームもある。
これに持参した粉山椒を振りかければ、最高のお弁当になる。この旨い弁当にはご贔屓も生まれていて、私の高校の先輩で京都選出の国会議員先生も大のファンだとか。
てりやきごはんとビーフかつサンドはそれぞれ3段階あり、使う肉の部位も最上級の肉を選ぶこともできるので、時々の状況に合わせて、普段使いとハレの日用で使い分けも一考。客人が来た時などにもよいだろう。
因みに注文が入ってからつくるので、電話予約されると待たされない。
・てりやきごはん 1,200円/2,000円/2,900円
・ビーフかつサンド 1,300円/1,700円/2,200円
使用肉例:黒毛和牛 モモ/ランイチ/ヒレ
※価格は税込み
【お肉の大川】
■場所/京都市下京区七条御前西南角 西七条南中野町49
■電話/075-313-7851 FAX:075-313-8999
■営業時間/9:00~18:30
■定休日/水曜日、木曜日
文/中村 暁
日本文化プロデューサー。1955年、京都生まれ。伝統芸能をはじめ日本文化を様々な切り口からプロデュースする。日本の食文化についても興味が深く、素材を求めて生産者まで足を運び、自ら台所に立つことも多い。暮らしのスタイルは季節を感じて日本人らしくがモットー。