冷蔵庫がなかった時代、野菜や肉などの食材は塩漬けして日持ちさせていた。塩漬けにすることで保存性が高まるうえ、素材の持ち味をより引き出すこともできる優れた調理法である。
古来、中国や台湾などでは、主にアヒルの卵を塩水に漬け込んだ鹹蛋(しえんたん)と呼ばれる保存食が、粥などの家庭料理の食材に使われている。
そこで、鶏卵を塩水に漬け込み、その卵をご飯の上にのせて味わう「塩玉子飯」を作ってみたい。
作り方はいたって簡単。密閉できる容器に塩水と生卵を殻のまま入れて1か月ほど漬け込むと、塩漬け卵ができあがる。殻を割って黄身を取り出し、熱々のご飯にのせれば完成だ。
卵を塩漬けにすると、黄身は塩の浸透圧作用により水分が引き出されてぎゅっと締まり、見た目はぷっくりと盛り上がる。味は塩分がほどよく染みて、凝縮した黄身の味わいがきわ立ち、醤油を使わずとも美味しくいただける。
一方、白身は見た目に大きな変化はないが、塩気がかなり強くなるので、好みにより加減しながらご飯に加えてもいいだろう。
漬け込むのに日数を要するが、それを待つ間も楽しい一品である。
【塩玉子飯の作り方】
お茶漬けにしても美味しい!
食べ方の一例として、塩玉子飯に熱いほうじ茶をかけ、お茶漬けにしても美味しい。黄身を崩してご飯と茶に混ぜ込みながら味わおう。
取材・文/矢島裕紀彦
撮影/片山虎之助
(本記事はサライ2015年6月号に掲載されたものです)
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