水晶のように煌めく透明度の高いガラスを“クリスタルガラス”と呼ぶ。日本初のクリスタルガラス専門工場として創立した「カガミクリスタル」は、職人の一貫した手作業を誇り、芸術品のように美しい光を放つグラスを数々作り続ける。そして今では、宮内庁の晩餐会や迎賓館で使われる皇室御用達品となっている。
今回紹介する冷酒杯とロックグラスは、伝統工芸士の木村秋男氏がデザインした繊細かつ複雑なカットが鮮烈な青い江戸切子。グラスに配されているのは、竹籠の八角形の編み目に由来する伝統文様の「八角籠目紋」。
狭い間隔を保ちつつ、細い2本の直線を平行に施していく精緻なカットは難しく、職人の腕の見せ所だ。
加えて大胆なカットをバランスよく組み合わせたことで、多角度から光が反射し、キラキラと輝く。さらにグラスの底面には、「菊底」という菊の花を思わせるカットがあしらわれている。
クリスタルガラスの透明度が活きるのは青色と透明なガラスのコントラストにあるが、くっきりとした青の八角窓が浮き出る様は見る者の心を奪う。
夏の涼を演出するにふさわしい青の煌めき。オンザロックの澄んだ氷の音に心の酔いが深まっていく。
【今日の逸品】
伝統工芸士・木村秋男デザイン 江戸切子の酒器
カガミクリスタル
11,000円~(消費税込み)