昭和33年、革命的な製品が誕生した。ビニール傘である。発明したのは、享保6年(1721)創業の皇室御用達の老舗傘メーカー「ホワイトローズ」。当時は傘職人が傘骨に繊維素材のカバーをかけた傘が一般的で、総ビニール張りの透明な傘は画期的だった。
しかし誕生当初は、旧来の傘職人の技術を必要としないため、「こんなもん傘じゃねぇ!」と傘業界から反発され、販路を確保できない日々が続いた。事態が好転したのは昭和39年。東京オリンピック観戦のため来日した米国大手洋傘流通会社のバイヤーの目にとまり、アメリカへの輸出が決まったのだ。以後、ビニール傘は日本でも大ヒット商品へと上り詰めた。
「現在ビニール傘は海外で大量生産された安価なものが出回り、使い捨てのイメージが強くなっていますが、当社は安全性と機能性に優れた丈夫なビニール傘を作っています」と語るのは、同社社長の須藤宰氏。ここで紹介する品も、こだわりの自信作である。
特徴は特許構造「逆支弁」。外からの雨風を防ぎつつ内側の風を逃がすため、強風にあおられたり、傘がひっくり返る心配は不要。カバーは撥水性に優れたオレフィン系の3層構造フィルムで、開く際にくっつかない。須藤氏が「10年以上使えます」と太鼓判を押す本品。まさに妥協なき精緻の結晶だ。
【今日の逸品】
高級ビニール傘「かて~る16桜」
ホワイトローズ
11,000円(消費税8%込み)