文/川口陽海
なかなか治らない腰痛や坐骨神経痛、本当につらいですよね。
整形外科や接骨院、鍼治療にマッサージ、整体、骨盤矯正……。
色々な治療を何回受けても良くならない……。
そんな時は、もしかしたら原因は深部の筋肉にあるかもしれません。
痛みの原因は神経ではなく筋肉
腰や脚の痛みで病院に行くと、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、腰椎すべり症、坐骨神経痛などの診断を受け、『神経が圧迫されているので痛みが起こる』と説明されます。
しかし、本当に神経が圧迫されて痛みがおこっていることは実は稀で、『腰痛や坐骨神経痛の多くは筋肉から起こっている』と言ったら驚かれるでしょうか?
例えば、下の図の赤い範囲のように、お尻から脚にかけて痛みやしびれがあれば『坐骨神経痛』と診断されますが、これは『小殿筋』という殿部(股関節)の筋肉から起こる症状の典型的なパターンです。
神経ではなく、筋肉自体からこのように広範囲に、遠くまで痛みがおこることもあるのです。
このように筋肉から痛みやしびれなどが起こる症状を『筋筋膜性疼痛症候群(きんきんまくせいとうつうしょうこうぐん)』と言います。
『筋筋膜性疼痛症候群』は正式な医学的な病名ですが、まだまだ一般的には認知度は低いようです。
『トリガーポイント』と言う言葉なら、雑誌やテレビなどで取り上げられることも増えてきましたので、耳にされたことのある方も多いかもしれません。
『トリガーポイント』が『筋筋膜性疼痛症候群』を引き起こします。
トリガーポイントと筋筋膜性疼痛症候群
筋肉は、疲労や血行不良などがつづくとロープ状に強く緊張して硬いこわばりができます。
これを「索状硬結」といいます。
いわゆるこって筋張ってしまった筋肉をイメージしていただければ良いと思います。
この「こって筋張った筋肉」の中に、とくに硬く、痛みを発するしこり状の固まりができます。
これが『トリガーポイント』です。“痛みの引き金になる点”ということから『トリガーポイント』と名づけられました。
この『トリガーポイント』が痛みやしびれなど『筋筋膜性疼痛症候群』の症状を引き起こすのです。
病院では筋肉について調べることはほとんどありません。
そのために『筋筋膜性疼痛症候群』が見逃されてしまっています。
トリガーポイントについてくわしく知りたい方は、以下の腰痛トレーニング研究所のブログ記事もご覧ください。
トリガーポイントリリースで腰痛撃退! | 腰痛トレーニング研究所ブログ
治りにくい痛みは、深部の筋肉に原因がある
トリガーポイントは筋肉にできますが、ひと口に筋肉と言っても大きさも厚みもありますし、たくさんの筋肉が隣り合ったり重なったりしています。
治りにくい痛みの場合、これは筆者の治療経験による感想ですが、深部の筋肉にトリガーポイントが生じていることが多いように思います。
深部の筋肉とは【ひとつの筋肉の深い部位】または【いくつか重なったうちの奥の筋肉】などです。
例えば下の図は太ももの断面図ですが、✖マークのような中心部や骨に近いような部位です。
このような深い部分のトリガーポイントは、普通の治療や施術ではなかなかとらえることができません。
表面的にほぐすだけではもちろんダメですし、単に強く深く押しても適切にとらえられないのです。
施術者の指先で筋肉の隙間を分けいり、重なった筋肉をめくりながら奥の患部を探っていく、というような繊細な技術が必要とされます。
このような施術で深部のトリガーポイントを捉えられると、施術を受けている患者さんは必ず『そこだ~!』『あ~そこそこ!』『効く~』などと言われます。
指先で刺激されると痛みもあるのですが、『痛いけど効く』『痛気持ちいい』感覚をおぼえ、はっきりそこが原因だと『身体が理解する』という感覚になります。
深部の筋肉はこのようにほぐれにくいので、そのままでは自分自身でほぐしたり運動したりしてもなかなか症状が改善しないのですが、一度捉えられると少しずつ回復のサイクルに入ります。
施術を繰り返すことで少しずつ固いしこり状のトリガーポイントがほぐれていき、段々と患者さん自身のセルフケアやエクササイズも効果があらわれてきます。
【次ページでストレッチを紹介します】