取材・文/ふじのあやこ
近いようでどこか遠い、娘と家族との距離感。小さい頃から一緒に過ごす中で、娘たちは親に対してどのような感情を持ち、接していたのか。本連載では娘目線で家族の時間を振り返ってもらい、関係性の変化を探っていきます。
「両親は小さい頃から私を一個人として対等に見てくれていました。押さえつけられたことは一度もありません」と語るのは、正美さん(仮名・43歳)。彼女は現在、資格を生かしてフリーランスでさまざまな仕事を請け負っています。ハキハキと話し、質問の回答もわかりやすく説明してくれるところから、頭の回転が速い人という印象を受けました。
両親、祖父母ともに仕事がメインの家。小さい頃は祖母の家によく預けられていた
正美さんは島根県出身で、両親との3人家族。両親の結婚は早く、若い時の子供だと自身のことを語ります。
「両親は同い年で、2人とも東京で働いている時に出会い、21歳の時に結婚。私は23歳の時の子供で、友人の中でも若い両親でした。父親はずっと外で働いていたんですが、55歳の時に脱サラして、それからは自宅で今も機械設計やCADの仕事をしています。父の仕事柄、自宅にはパソコンがたくさんありますね。母親は主婦業をメインにたまにパートをしているくらいです」
小さい頃は母方の祖母のところによく預けられていたと言います。
「55歳で脱サラした父親ですが、私が高校生の時ぐらいまではずっと忙しくしていて、顔を合わすことさえありませんでしたね。母親もパートに出かけていたので、小さい頃は家から3キロくらいの距離にある母方の祖父母の家によく預けられていました。当時は祖母も農業の他にも仕事をしていたので、家に預けられていただけなんですけどね。祖母は仕事をしている傍ら、手芸が趣味で、新聞に載ったこともあるくらい得意だったんです。小学校低学年ぐらいまでは一緒に作っていた記憶が残っています」
「田舎にずっといてはいけない」という父親の教育方針の下、市外の高校を受験。家族で勉学をバックアップしてくれた
正美さんは勉強が得意で、成績も常に学校の上位だったそう。勉強に関して両親、祖父母ともに何かを言われたこともなかったとのことですが、学校の先生の一言がきっかけで上位の高校を目指すことになります。
【次ページに続きます】