最近、パソコンやスマートフォンの普及により、⾃ら字を書く機会はめっきり減少してきました。その影響からか「読める、けれども、いざ書こうとすると書けない漢字」が増えていませんか? 以前はすらすらと書けていたのに、と書く⼒が衰えたと実感することもあります。
この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能⼒を⾼く保つことにお役⽴てください。
「脳トレ漢字」今回は、「氷柱」をご紹介します。冬の景色を眺めながら漢字への造詣を深めてみてください。

「氷柱」は何と読む?
「氷柱」の読み方をご存じでしょうか?
正解は……
「つらら」です。
『小学館デジタル大辞泉』では「水のしずくが凍って、軒下や山の岩などに棒状に垂れ下がったもの。垂氷」(たるひ)とあります。
「ひょうちゅう」と読む場合は、単純に「氷の柱」を意味します。かき氷を作る際に削る四角い氷の塊や、保冷のために立てておく大きな氷も「氷柱」(ひょうちゅう)と呼びますね。
「氷柱」の由来
なぜ「氷の柱」と書いて「つらら」と読むのでしょうか? この言葉の背景には、古くからの日本人の美意識と、言葉の変遷が隠されています。
実は「つらら」という言葉自体は、もともと氷そのものを指す言葉ではありませんでした。「つらら」の語源は、「連なり」(つらなり)にあるといわれています。

物が連なって滑らかに見える様子を表す古語「つらつら」が転じたという説が有力です。古くは、軒下に下がる氷だけでなく、水が連なって流れる様子や、物が並んでいる様子全般を指していたようです。そこから、軒先にずらりと並んで垂れ下がる氷の棒を特定して「つらら」と呼ぶようになりました。
「たるひ」という読み方についても触れておきましょう。「水が垂れて凍った氷」という意味ですね。古くは「つらら」よりも「たるひ」の方が一般的な呼び名だった時代もあります。『万葉集』などの古典文学では「たるひ」という言葉で冬の情景が詠まれていることが多いのです。
「つらら」という響きには、氷が連なる視覚的なイメージが、「たるひ」という響きには、水が垂れる動作のイメージがあります。それぞれに異なる情景が浮かぶのも、日本語の奥ゆかしいところですね。
観光資源としての氷柱
近年、地球温暖化の影響で、都市部では氷柱を見かける機会が減ってきました。しかし、冬の観光資源として氷柱を活用する地域も増えています。埼玉県秩父市の「三十槌の氷柱」や、栃木県日光市の「雲竜渓谷の氷柱」など、自然が作り出す巨大な氷柱群は、多くの観光客を魅了しています。
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いかがでしたか? 今回の「氷柱」のご紹介は皆様の漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 冷たく張り詰めた空気の中で育つ「氷柱」のように、私たちも凛とした心持ちでこの冬を過ごしたいものですね。
来週もお楽しみに。
●執筆/武田さゆり

国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com











