桜井|今西酒造
「三輪伝承蔵」で体感する菩提酛造りの真髄

菩提酛(ぼだいもと)を用いた酒を醸造する今西酒造は、地元流通「三諸杉(みむろすぎ)」と特約店流通「みむろ杉」が代表銘柄。酒造りの神を祀る大神(おおみわ)神社のお膝元、三輪の地で365年の歴史を刻む。今春新たに、大神神社の参道に開設したのが菩提酛造りを五感で感じることができる「今西酒造 三輪伝承蔵」である。
建屋は弥生時代から伝わる伝統工法の板倉造り、内部は正倉院にも用いられる校倉造りの技法を取り入れている。建材には吉野杉がふんだんに使われ、吹き抜けの天井からの柔らかな日差しのなかで、清々しい杉の香りが広がる。
この清らかな空間で醸されているのが、三輪山の伏流水と奈良県産米を用いた菩提酛造りの酒である。ガラスで仕切られた仕込み室には吉野杉の木桶が並び、米を蒸す甑(こしき)も吉野杉製である。
「当蔵の醸造哲学は、清く、正しい酒造り。三輪山に見守られ、噓偽りない酒造りを行なうことです。ここではすべての酒造りの原点ともいえる菩提酛造りの醸造工程を見ていただき、搾りたての酒を味わっていただくことができます」
こう話すのは14代蔵主の今西将之さん(41歳)。5年前から菩提酛研究会で定めたそやし水の規定に則った菩提酛造りを始め、現在は全量の50%が菩提酛造りという。菩提酛造りの酒は立体感があり複雑さが加味されるため、目指す酒造りに一致すると話す。

併設の角打ちコーナーで、「三諸杉 三輪伝承蔵仕込み 露葉風50」を試す。キレと軽やかさ、ほどよい酸味と甘みがなんとも心地よい。自家製奈良漬けなどの酒肴との相性も非の打ちどころがない。奈良の伝統と文化を体現した酒蔵で、風土が溶け込んだ酒の技と心意気を体感することができる。

今西酒造

桜井市三輪510
電話:0744・42・6022
https://imanishisyuzou.com/
桜井|大神神社
酒造りの神が鎮まる社から杉玉が全国の酒蔵へ

が神杉を手に厳に舞う。酒造関係者200人ほどが集まり、境内では振る舞い酒もある。

蔵元の信仰を集める大神神社
毎年11月14日、全国の酒造家や杜氏らが参列する醸造安全祈願祭が行なわれるのが大神(おおみわ)神社である。御祭神の大物主大神(おおものぬしのおおかみ)が鎮まる三輪山を拝する日本最古の神社で、御祭神の神助で美酒を醸した高橋活日命(たかはしいくひのみこと)を祀る活日(いくひ) 神社があり、酒造関係者からの信仰が厚い。
祭り前日には、拝殿に掛かる直径1.5m、重さ200kgもの大杉玉が新しく掛け替えられる。青々と茂る杉玉は新酒完成のしるしであり、ここ三輪の地から全国の酒蔵へ杉玉が授与されるという。三輪山を覆う神聖な杉に宿る力を借りて、良き酒が生まれるのだ。
大神神社


桜井市三輪1422
電話:0744・42・6633
交通:JR桜井線三輪駅より徒歩約5分

取材・文/関屋淳子 写真/奥田高文

特別付録『2026年「サライ」オリジナル「ゴッホ・カレンダー」』











