室町時代の豆腐田楽にルーツを持ち江戸時代にはファストフードとして庶民に親しまれてきた「おでん」。今も昔も暖簾をくぐると“だし”の香がふわり漂う──そんな酒場で気取らぬ一杯を。

昆布と魚介の旨みを味わう古都金沢の名物おでん

だしは注ぎ足しではなく、毎日新しくひく。醬油を使わず、日本酒「天狗舞」と能登の塩で調整。

人口ひとり当たりの“おでん店の数”が日本一で、年中食卓に上がるほど、おでんの消費量が多い町、金沢。金沢おでんとは地場の食材を使い、通年食べられることが条件で、北陸新幹線の開通を契機に知られるようになった。

加賀伝統料理を気楽に味わえる『あまつぼ柿木畠(かきのきばたけ)本店』は昭和39年(1964)の開業時は洋食も提供する大衆食堂だったが、その1〜2年後に常連客からの要望でおでんを出すようになった。

「うちのおでんだしは、毎朝、昆布と鰹節でだしをひき、日本酒と塩で調えます。注ぎ足しではなく毎日入れ替えて使います」と、3代目の中村温子さん(37歳)。祖父が起こし、父が育てた店の味を守っている。

おでん鍋を取り仕切るのは3代目の温子さん。幼少期から店のおでんに親しんできた。鶏の唐揚げ、ゲソの唐揚げをおでんだしに浸した料理もおでん好きに支持されている。

だしの旨みを享受する

澄んだ金色のだしに浮かぶ、金沢らしい種(たね)を温子さんに見繕ってもらう。まずは、だしをたっぷりと含んだ車麩。続いて紅白の渦巻き模様の赤巻き。ほのかな甘さの貝だしが、さっぱりとしたおでんだしとよく合うバイ貝。冬場は甘みを増す伝統野菜の源助大根も欠かせない。1種180円〜と懐にやさしいおでんで一盞(いっさん)を。

おでんの前には「鴨治部煮」を。じぶじぶと煮るから治部煮だとか、ジビエが転訛して治部煮になったなど、由来に諸説ある加賀伝統料理だ。鴨や麩、椎茸を、山葵を溶かしたとろみのあるだしで味わう。ぬる燗がおすすめ。
赤巻きや車麩などおでんには芋焼酎「一刻者(いっこもん)」のソーダ割りもよく合う。

あまつぼ柿木畠本店

石川県金沢市柿木畠4-7
電話:076・221・8491
営業時間:17時〜22時(21時30分最終入店)
定休日:日曜
交通:JR金沢駅より車で約10分

取材・文/山﨑真由子 撮影/寺澤太郎

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