「おきみゅー」の名で親しまれている沖縄県立博物館・美術館は、沖縄の城(グスク)をイメージしてデザインされています。沖縄の自然、歴史、文化、芸術を一度に鑑賞できる施設として開館されました。

沖縄戦後80年の企画として開催されている「戦ぬ前(いくさぬめー)―沖縄文化の近代―」では、琉球国が沖縄県となった「世替わり」から太平洋戦争へと至る前の美術、工芸、メディアを通して、文化と戦争の関係を見つめ直す展覧会です。(11月1日~2026年2月1日)

石澤兵吾《琉球漆器考》 1889年 沖縄県立博物館・美術館蔵
小橋川仁王・永昌(二代目仁王)《芭蕉蘇鉄貼付文壺》
沖縄県立博物館・美術館蔵

本展の見どころを、沖縄県立博物館・美術館の学芸員、大城さゆりさんにうかがいました。

「近年、「新しい戦前」という言葉が聞かれますが、その背景には「いつか自分も戦争に巻き込まれるのでは」という不安が内包されていると思われます。今を生きる私たちは「かつての戦争へと至った道筋」をどれほど知っているでしょうか。

展覧会「戦ぬ前―沖縄文化の近代―」では、琉球処分から太平洋戦争までの美術、工芸、メディアから、近代の沖縄をめぐる表現を概観することで、文化と戦争の相関を考えます。

展示は3章に分かれ、第1章(1872年~)「世替わりや 世替わりや(ゆがわりや ゆがわりや)」は、琉球処分から日露戦争頃までを対象とし、琉球絵師の世替わり後の仕事などを取り上げます。

長嶺宗恭(号・華国)《芭蕉の図》
1929年 沖縄県立博物館・美術館蔵

第2章(1905年~)「往来 往来(をおれえ をおれえ)」は、日露戦争後から日中戦争開戦前までの間に花開いた近代工芸や、本土へ進学した画家たちを紹介。

比嘉盛清(号・崋山)《比嘉商店広告原画》 1930 年代 那覇市歴史博物館蔵

第3章(1937年~)「イクサへ イクサへ」では、日中戦争から敗戦までの統制による制作への影響をみます。

沖縄県《山羊は食っても皮残せ 皮一枚も皇國の為め(軍部買上)》1940年代 沖縄県立図書館蔵
大嶺政寛《壺屋》 1944年 沖縄県立博物館・美術館蔵

戦前の作品や作家たちの動きを通して「戦争とは何か」「戦争の前に何が起こるのか」を、文化の視点から考えてみませんか」

同時開催の沖縄戦後80年・ベトナム戦争終結50年祈念「ベトナム 記憶の風景」も見逃せません。ぜひ「おきみゅー」に足をお運びください。

【開催要項】
沖縄戦後80年企画「戦ぬ前(いくさぬめー)―沖縄文化の近代―」
会期:2025年11月1日(土)~2026年2月1日(日) ※会期中展示替えあり
住所:沖縄県那覇市おもろまち3-1-1
電話:098・941・8200
公式サイト:https://okimu.jp/
開館時間:9時~18時、金・土曜日は~20時(入場は各閉館30分前まで)
休館日:月曜日(ただし11月3日、11月24日、1月12日は開館)、11月4日(火)、
    11月25日(火)、年末年始(12月29日~1月3日)、1月13日(火)
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

関連記事

ランキング

サライ最新号
2025年
12月号

サライ最新号

人気のキーワード

新着記事

ピックアップ

サライプレミアム倶楽部

最新記事のお知らせ、イベント、読者企画、豪華プレゼントなどへの応募情報をお届けします。

公式SNS

サライ公式SNSで最新情報を配信中!

  • Facebook
  • Twitter
  • Instagram
  • LINE

小学館百貨店Online Store

通販別冊
通販別冊

心に響き長く愛せるモノだけを厳選した通販メディア

花人日和(かじんびより)

和田秀樹 最新刊

75歳からの生き方ノート

おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店
おすすめのサイト
dime
be-pal
リアルキッチン&インテリア
小学館百貨店