イタリアでも珍しいダブル主役のパスタは、海と山の幸が一度に食べられる贅沢な一皿だ。ポルチーニの風味に負けないように、海老の頭をしっかり焼いて旨みを引き出すこと。手間と時間をかけたぶんだけ、おいしさと喜びは格別だ。

魚のパスタといえば、いちばんに頭に浮かぶのは、白ワインでつくるボンゴレ・ビアンコやトマトソースベースのペスカトーレだろう。日本でも市民権を得たこのふた皿は、多くのレシピが出回っている。今回、井上シェフが教えてくれたのは、イタリアでもすこし珍しいという、魚とキノコをともに主役に据えたパスタ。
パスタ名は海と山の意味を表す“マーレ エ モンティ”。井上シェフによると、イタリア料理では、海と山の幸の組み合わせはタブーとされているのだという。そのなかで、このパスタは全土で食べられているという。
今回のレシピは、有頭の甘海老とポルチーニ(茸)を用いてつくる。ポルチーニは乾燥を戻して使用。香りの強いポルチーニに負けないように、海老は頭をカリカリに焼きつけ、香ばしさと上品な旨みをオイルに移す。合わさることで、ソースの香りと旨みがますます高まる。仕上げに少量の生クリームを加えるのはコク出しのためだ。パスタと海老の身を投入したら、海老の甘みを生かすため、火を入れすぎないように手早く混ぜ合わせれば完成となる。
もちっとした食感のタリアテッレをかみしめるたびに、妖艶で濃厚なソースがあふれ出す。
材料(2人分)
パスタ(タリアテッレ)……180g
甘海老(有頭/殻つき)……6尾
ポルチーニ(乾燥)……20g
ポルチーニの戻し汁……100ml
にんにく(薄皮ごとつぶす)……1片
生クリーム……20ml
オリーブ油……大さじ1
塩……適量
つくり方
1.下ごしらえをする
ポルチーニはヒタヒタの水で約30分間戻し、ザルでこす。戻し汁は取っておく。

甘海老はヒゲを除き、頭を切り離す。殻と尾を取り除き、背に切り込みを入れて背ワタを取り、長さを半分に切る。

2.ソースをつくる
フライパンにオリーブ油大さじ1を弱火で熱し、にんにくを炒めて、香りがたったらにんにくを除く。中火にして甘海老の頭を加え、塩1つまみをふって炒める。

ポルチーニを加えて塩2つまみをふり、サッと炒める。戻し汁を注ぎ、軽く煮詰める。

3.パスタをゆでて、ソースと合わせる
鍋に水2Lと塩20gを入れて沸かし、パスタを袋の表示通りにゆで始める。
2にパスタのゆで汁少々と生クリームを入れ軽く煮る。

パスタがゆで上がったら水けをきってフライパンに加え、1の甘海老の胴も加えて、

手早く混ぜる。

教える人 井上雄一さん(『スポルカチョーネ』オーナーシェフ)

スポルカチョーネ


東京都世田谷区松原1-20-18
電話:03・6379・2869
営業時間:17時〜21時(最終注文)
定休日:水曜、木曜、日曜

取材・文/石出和香子 撮影/伊藤徹也











