爽快なソーダ割りか、ほっこりお湯割りか。焼酎のポテンシャルをより引き出す割り方を、東京は下町にある、焼酎バーの店主に習った。
「芋、麦、米、黒糖。お好きな焼酎でどうぞ!」
教える人 土山章裕さん(『焼酎Bar秘蔵』店主)

「ソーダ割りとお湯割り。正反対な飲み方ですが、ポイントは共通してアルコール度数と温度にあります」と、東京・押上の『焼酎Bar 秘蔵(ひめくら)』の主人、土山章裕さん。
まずはアルコール度数。ぐびぐび飲むソーダ割りは6度、ちびちび飲(や)るお湯割りは13度が目指す最適な度数。それぞれ、ビールと日本酒に近いアルコールの濃さだ。水分との比率は25度の焼酎なら、ソーダ割りは1:3、お湯割りはやや焼酎多めの1:1と覚えよう。
次に温度。ソーダ割りの炭酸ガスは冷たいほうが抜けにくい。最初に焼酎と氷をよくステアして、しっかり温度を下げてからソーダを注ぎ入れることで、キンキンに冷えたシャープな炭酸が楽しめる。
一方、お湯割りは日本酒のちろりを使うのが土山さん流。ちろりに焼酎と水を入れて、湯煎で30秒。目安は70℃だ。
「焼酎の香気成分は油分が多く、一度、熱く温度を上げることで格段においしくなるんです」
今回は芋焼酎を使ったが、原料によらず基本の作り方は変わらない。アルコール度数が異なる場合には、焼酎と水分の比率を変える。いつもの焼酎が劇的に旨くなる秘伝のレシピ、ぜひお試しを。
1:3の黄金比率で、爽快な泡と香りが弾ける

土山さんのレシピは「炭酸感がしっかり残った強炭酸のソーダ割り」。なので、まず大切なのは、気が抜けていない未開封の炭酸水を用意すること。焼酎(25度)とソーダの割合は1:3で、ビールと同じアルコール度数6度前後に調整する。フルーティで華やかな香りの焼酎がソーダ割り向き。「昔ながらの油分が多い焼酎は比較的お湯割り向きだけど、個性の強い泡盛のソーダ割りも美味」
「喉越しのよさが身上。ぐびぐび飲めるレシピです」
1.グラスに氷を入れる

背の高いグラスにロックアイスを入れる。混ぜていく過程で溶けるので、グラスいっぱいを大きな氷で隙間なく満たすとよい。
2.焼酎を静かに注ぐ

グラスを傾けて、焼酎をグラスの壁に沿わせながら静かに注ぎ入れる。氷に当てると香りが飛ぶので注意。25度の焼酎ならば60mLを入れる。
3.素早くステアする

マドラーを静かに底まで沈め、くるくると円を描くようにステアする。ステアとは、カクテル用語で「材料と氷をかき混ぜて冷やすこと」。
4.しっかり冷えたら完了

写真のように氷に隙間ができて、グラス全体が汗をかくくらいしっかりと冷えたらステア完了。よく冷えているほうが、炭酸が抜けにくい。
5.マドラーで氷を押さえる

人差し指とグラスのへりの間にマドラーを固定するようにして、氷を押さえる。
6.炭酸水を静かに注ぐ

グラスを傾けて、もう片方の手でグラスの壁に沿わせながら炭酸水をそっと流し込む。焼酎(25度)60mLに対して、炭酸水の量は180mL。
7.氷を上下に動かす

マドラーを再び底まで沈め、そっと氷を持ち上げてから下げる。なるべく炭酸が抜けないように、ゆっくりと動かして縦の流れを作る。1〜2回繰り返す。
8.完成!

ちびちびではなく、豪快にぐびぐび飲みたいソーダ割りだ。フレッシュな泡が弾ける爽快な喉越しと、鼻に抜ける豊かな香りを楽しみたい。
ソーダ割りに向くのは「フルーティタイプ」

BBQやホームパーティで大活躍する、「ソーダ前割り」作ってみよう!
土山さん発案の画期的なソーダ割り。ペットボトルの炭酸水の中身を少し減らして焼酎を注ぎ入れ、数時間置くだけ。容器のまま食卓に出して、スパークリング焼酎として氷なしで楽しめる。「1Lでつくれば、BBQやホームパーティでも重宝します」。焼酎(25度)と炭酸水の比率は1:3で、フルーティな焼酎が向く。新感覚のおいしさだ。

まるで焼酎のシャンパーニュ
1.500mLペットボトルの炭酸水を用意。中身を125mL分減らし、125mLの焼酎を静かに注ぎ入れる。
2.しっかり栓をして、冷蔵庫で3〜6時間ほど休ませる。あまり長く置きすぎると炭酸が抜けてしまうので注意。
3. 一度、上下にひっくり返したら完成。氷なしで楽しめる。

土山さんの旨い焼酎の割りが堪能できる店はこちら!
焼酎Bar秘蔵


東京都墨田区向島4-26-6
電話:03・3625・1856
営業時間:18時〜23時(最終注文)
定休日:水曜
交通:東京メトロほか押上駅A3出口より徒歩約7分
※お通し1000円。焼酎は600円〜。予約でコースあり。
取材・文/渡辺菜々緒 撮影/鈴木泰介












