新世代の造り手が生み出す本格焼酎に惚れ込み、新たな酒と料理の楽しみを提案する酒場が今、熱い。鹿児島で出会った珠玉の一軒へをご紹介。

焼酎王国のど真ん中から、新風を吹き込む自由闊達な一軒

季節のフルーツを使ったカクテルは店の定番。黒糖焼酎『珊瑚』を使った「苺のモヒート」1100円。

鹿児島は天文館といえば、九州においても天下無双の焼酎の本丸。『焼酎BAR S.A.O』は、そんな焼酎王国のど真ん中から進取の風を吹き込む一軒だ。

まずは1杯目の「苺のモヒート」に唸る。ベースは、奄美群島の黒糖焼酎『珊瑚』。米麹由来のどこか懐かしい香りがふわりと漂い、ミント、苺、ライムの瑞々しい風味と混じり合って、すっと体に馴染んでいく。ラムのそれとは異なる、鹿児島のモヒートなのだ。

かと思えば、王道のお湯割りも並ではない。バックバーに並ぶ甕4つは、それぞれの蔵元の仕込み水で前割り。黒千代香で燗付けする際には季節によって温度も変え、最大限に個性を引き出す。

前割りの焼酎4種。すべて、それぞれの蔵の仕込み水で割っている。

この日は『萬膳』を45℃で、アテには鹿児島産黒毛和牛の生ハム「ブレオザラ」を。ナッツのような余韻が残る温かな焼酎で、和牛の甘い脂を溶かすように合わせれば、これぞ芋焼酎の醍醐味だ。

焼酎のもろみ粕を発酵させ飼料にして育てた黒毛和牛の生ハム「ブレオザラ」1150円。『萬膳』の前割りの黒千代香1000円。

「芋の魅力を映し取った前割りのできは、水のおいしさが影響するので、毎月、蔵元を巡って汲み水しています」と、店主の金丸佑也さんと妻の望南(もな)さん。焼酎の本質を知悉(ちしつ)する若き夫婦によるのびやかな一杯に、愁眉も開く夜となる。

焼酎BAR S.A.O

「蔵の仕込み水を割り水にしています」

店主の金丸佑也さんは、叔父の店を引き継ぎ、平成12年に同店を開店。妻の望南(もな)さんは客として訪れ、苦手だった焼酎のおいしさに開眼した。

鹿児島市千日町8-14貴剛ビル地下1階
電話:099・239・4461
営業時間:19時〜翌2時(最終注文翌1時)
定休日:不定
交通:市電天文館通駅より約3分

取材・文/渡辺菜々緒 撮影/繁延あづさ

サライ2025年7月号大特集は『夏に沁み入る本格「焼酎」』

 

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