英語の動詞には、日本語ではひと言で置き換えられないような、独自の視点や発想が息づいていることがあります。今回は、そんな英語ならではの微妙なニュアンスの違いを、楽しみながら学んでみましょう。
さて、今回ご紹介するのは “Time will tell.”というフレーズです。

目次
“Time will tell.” の意味は?
「話す」の英語表現
『高慢と偏見』の静かな情熱
最後に
“Time will tell.” の意味は?
“Time will tell.” を直訳すると、“time” は(時間)、“tell ” は(言う)ですが……、そこから転じて
正解は……
「時が経てば分かる」という意味です。
“tell” には、他にも「教える」「伝える」などの意味があります。
『ランダムハウス英和大辞典』(小学館)には、“Time will tell.”の意味について「時が来れば分かる。」と書かれています。
例えば、
“I’m not sure if it was the right choice. Time will tell.”
(それが正しい選択だったかは分からない。時が経てば分かるよ。)
“Time will tell if she made the right decision.”
(彼女が正しい決断をしたかどうかは、いずれ明らかになるでしょう。)
などのように使うことができます。

「話す」の英語表現
英語には、「話す」や「言う」に関連したことばが多くあります。その中でもよく使われる、「tell」「say」「speak」「talk」4つの動詞の違いをみてみましょう。
1. “Tell”:「誰かに〜を伝える」
「tell」は「誰かに何かを伝える・教える・話す」という意味で使われます。
【例文】
“Please tell me your name.”
(あなたの名前を教えてください。)
“I told my parents about the trip.”
(私は両親に旅行のことを話しました。)
2. “Say”:「〜と言う」
口に出した言葉(内容)に焦点を当てます。「誰に言うか」は、省略されることもあります。
【例文】
“Don’t say that.”
(そんなこと言わないで。)
“She said she was tired.”
(彼女は疲れたと言ってましたよ。)
3. “Speak”:「話すという行為そのもの」
「speak」は「言語を話す」場面や「公式な・ていねいな発言」をするときなどに使われます。
【例文】
“He spoke at the meeting.”
(彼はその会議で話をしました。)
“May I speak with you?”
(お話ししてもよろしいですか?)《少し丁寧な表現》
4. “Talk”:「会話する。おしゃべりする」
「talk」は、人とのやりとりやカジュアルな会話などの場面で使われます。
【例文】
“They talked about the movie.”
(彼らはその映画について話しました。)
“We talked for hours.”
(私たちは何時間も話しました。)

『高慢と偏見』の“Tell”
ジェーン・オースティンの『高慢と偏見』は、19世紀初頭のイギリスが舞台です。当時の社会に根ざした階級意識や結婚観、家族の在り方を、繊細かつユーモラスに描いた作品です。この作品の中に、恋愛の名シーンとして、読者の心をとらえ続けている一節があります。
“You must allow me to tell you how ardently I love and admire you.”
— Jane Austen, Pride and Prejudice
(どれほど深くあなたを愛し敬愛しているか、お伝えすることをどうかお許しください。)
出典:Pride and Prejudice(Oxford World’s Classics, Oxford University Press, 2020年)
タイトルの「高慢(“Pride”)」は主要な登場人物、ウィリアム・ダーシーの態度を、「偏見(“Prejudice”)」は主人公、エリザベス・ベネットの抱く先入観を指していると言われています。物語は、ふたりが誤解や感情のすれ違いを乗り越え、心を通わせていく過程を描きます。
このセリフは、ダーシーが初めて自分の想いをエリザベスに打ち明ける場面で語られました。相手を想う控えめな言い回しの中にも、強い情熱が伝わってきます。
最後に
“Time will tell.”
時が経てば分かる。
たとえ今は答えが見えなくても、時の流れがやがて真実を浮かび上がらせてくれるのなら、できる限り、自分を飾らずに、日々まっすぐな言葉を紡いでいけたらと思います。
次回もお楽しみに。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com
