
世界4大文明(メソポタミア・インダス・エジプト・黄河)の発展と共に文字が生まれましたが、現在でも使用されているのは黄河文明で生まれた漢字のみです。
日常的に使用していますが、読めそうで読めなかったり、もはや読み方の想像すらできないものまで存在します。近年ではパソコンやスマホの変換機能に頼って、ますます漢字が「読めない」「書けない」人が増えています。
『サライ.jp』でも人気のコンテンツ「脳トレ漢字」のおさらい企画として、毎月5本をセレクトして、ご紹介します。隙間時間にチェックして、記憶力を鍛えながら漢字の奥深さを楽しんでください。
■1:最近、〇〇た顔をしていませんか?

答えは「しけ」です。
「雨風のために海が荒れること、海が荒れて不漁であること」から、「商店などへの客入りが悪い、不景気」というときや、金回りが悪くなると気分が暗くなるところから、「しけた顔(ツラ)」など人の状態も表します。
もともとは「空が曇る」の意味で使われていましたが、「天気が曇る→海が荒れる→不漁」のような意味に変化していったようです。
■2:「施工」と混同しないで!

「せこう」とも読みますが、正解は「しこう」です。
意味は、「法令の効力を発生させること」また「実際に行うこと、計画を実行すること」です。
ややこしいのが、工事の実施を指す「施工」という言葉もまた、「施行」同様に「しこう」と「せこう」という二つの読み方があります。「施行」と「施工」は字も似ているので混乱しそうになったら、法律関係は「施行(しこう)」、工事関係は「施工(せこう)」と読み方を分けるのが一般的、と覚えておきましょう。
※「施行」の正しい読み方は? 「しこう」それとも「せこう」?
■3:今が旬の、おいしい魚です

鍋や刺身、からあげなどがおいしい、冬の味覚「ふぐ」のことです。
海の生物なのに、なぜ「豚」という字が使われているかというと、腹を膨らます様子が豚に似ていたことに由来しています。
ふぐの語源としては、胃の一部に水を飲み込み、水を吹き出して砂中の餌を漁ることから「吹く」に由来して名づけられた、怒って「ふくれる」と「ふくベ(=ひょうたん)」に似て見えることからなど諸説あります。
■4:一般的な「柔」の読み方ではありません

「柔軟」「柔道」「懐柔」など「じゅう」と読むものがほとんどですが、「柔和」にかんしては「にゅうわ」と読みます。
性質や態度が、ものやわらかであることを意味し、主に人の性質や性格、言動に関して使う言葉です。そのため、身体の柔らかさを表す際には適さないので、ご注意を。
■5:雅楽の楽師や大相撲の行司が着用している装束のこと

雅楽の楽師や大相撲の行司などが着用している装束の名称を知っている人も少ないかもしれませんが、「ひたたれ」と読みます。
左右の前身頃を引き違えて合わせて着る、つまりVネックになった「垂領(たれくび)」と呼ばれる上衣と、同色の袴を組み合わせた装束です。衿(えり)の左右に紐を付けてこれを結んで、前を留め、袖をくくって、裾は袴の中に入れて着用します。もともと庶民の平服でしたが、平安後期に活動的なところが評価されて武士が着用しはじめ、鎌倉時代になると幕府に出仕する時の通常服に。室町時代以降には礼装としての地位を占めるようになり、江戸時代に入ると束帯などを除いた一般的な最高級礼装となりました。
テレビなどで見かけたら、ぜひチェックしてみてください。
※「直垂」、正しく読めますか?「じかたれ」でも「ちょくすい」でもありません
* * *
すべて読むことはできましたか? 読めても、意味までは知らないことも多いと思います。じっくりと漢字と向き合うことで、その奥深さに感心し、知的好奇心も刺激されるはず。ぜひ、毎月の習慣として「脳トレ漢字おさらい編」を取り入れてください。
文/編集部
