シニア世代にもなると、血気盛んであった頃からすれば、角も取れて随分と丸くなったように思います。また、人生長く生きていれば、それなりに多くのことを学び、悟ることができたようにも感じます。
しかし、その一方で未だ多くを悟りきれていないことも自覚するものです。若い頃「もっと、勉強すればよかった」と後悔するのは、まだまだ、頭が柔軟な証拠。先人が残してくれた名言や諺から、若かりし頃とは一味も二味も違った学びや悟りが得られるのではないでしょうか?
第36回の座右の銘にしたい言葉は「当(あ)たって砕(くだ)けろ」 です。
目次
「当たって砕けろ」の意味
「当たって砕けろ」の由来
「当たって砕けろ」を座右の銘としてスピーチするなら
最後に
「当たって砕けろ」の意味
「当たって砕けろ」について、『⼩学館デジタル⼤辞泉』では、「成功するかどうかわからなくても、思いきってやってみよということ」とあります。この言葉は単なる「無謀な挑戦」を意味するものではなく、「挑戦してみて、失敗しても構わない」という意味を持っています。
この言葉は、失敗を恐れずに行動することの重要性を強調しています。特にシニア世代にとって、これまでの経験を活かしつつ新しいことに挑戦することは、心身の健康を保ち、充実した生活を送るための鍵となります。人生100年時代と言われる今、定年後も20年以上の時間が待っています。この貴重な時間を、後悔なく過ごすためには、新しい挑戦を恐れない心構えが必要です。
「当たって砕けろ」の由来
この言葉のはっきりした出典はありませんが、英語訳では「Go for broke」。一か八かといった意味の表現ですが、第二次世界大戦中のアメリカ陸軍が有した、日系アメリカ人から構成された部隊の合言葉として使われたともいわれています。
砕けてしまっては元も子もないけれど、そこまで覚悟を決めれば成功の確率も上がる。ダメで元々なのだから何もしないよりはましだ、と決起を促す言葉です。多くの場合、暗に事態の好転が期待されています。
「当たって砕けろ」を座右の銘としてスピーチするなら
「当たって砕けろ」を座右の銘としてスピーチするときには、言葉の意味を明確にし、スピーチのテーマとして一貫性を持たせましょう。挑戦することの重要性や、失敗を恐れない心構えを中心に据えるようにします。以下に「当たって砕けろ」を取り入れたスピーチの例をあげます。
失敗を恐れず前に進む大切さを伝えるスピーチ例
皆さん、今日は「当たって砕けろ」という言葉についてお話ししたいと思います。一見、無謀な挑戦を推奨しているように聞こえるかもしれません。しかし、この言葉には「全力で取り組めば、結果がどうであれ必ず得るものがある」という深い知恵が込められています。
私たちの人生には、さまざまな挑戦が待ち受けています。特に、人生の後半に差しかかると、新しいことに挑戦するのは少し怖いと感じるかもしれません。しかし、「当たって砕けろ」という言葉は、失敗を恐れずに前に進むことの大切さを教えてくれます。
例えば、私は、60歳を過ぎてからギターを始めました。最初は指が思うように動かず、何度も挫折しそうになりました。しかし、私は「当たって砕けろ」の精神で練習を続け、今では地元の音楽イベントで演奏するまでになりました。
このように、挑戦することは私たちに新しい可能性を開いてくれます。失敗を恐れず、何度でも挑戦することで、私たちは成長し続けることができるのです。皆さんも、ぜひ「当たって砕けろ」を心に留めて、今日から何か新しいことに挑戦してみてください。きっと、素晴らしい未来が待っているはずです。
最後に
「当たって砕けろ」は、単なる勇気づけの言葉ではありません。人生後半をより豊かに生きるための指針となる言葉です。この言葉を胸に、新たな挑戦への一歩を踏み出してみませんか。失敗を恐れず、といって、無謀でもない。そんなバランスの取れた生き方の指針として、「当たって砕けろ」は現代のシニア世代にこそふさわしい座右の銘と言えるでしょう。
●執筆/武田さゆり
国家資格キャリアコンサルタント。中学高校国語科教諭、学校図書館司書教諭。現役教員の傍ら、子どもたちが自分らしく生きるためのキャリア教育推進活動を行う。趣味はテニスと読書。
●構成/京都メディアライン・https://kyotomedialine.com