我が子が結婚式を行なう際、今どきの披露宴の演出や費用の負担など、親としてはどこまで関わるべきなのか気になることも多いでしょう。近年の結婚式の主体は新郎新婦であるからこそ、親が意見しすぎると、相手の両親や新郎新婦とのトラブルに発展してしまうこともあります。
そのような事態を避けるためにも、今どきの披露宴事情を把握しておくことで、親も柔軟な対応ができることもあるでしょう。この記事では、今どきの結婚費用や披露宴事情をご紹介します。
目次
披露宴の基本と最新トレンド
披露宴の流れと進行ガイド
今どきの結婚式費用と贈り物のトレンド
最後に
披露宴の基本と最新トレンド
ご両親が経験した披露宴と近年の披露宴では、形式や価値観は大きく異なっています。何を重視するかは人それぞれですが、時代の流れによってその時のトレンドがあります。
ここでは、披露宴の基本と2024年の結婚式トレンドをご紹介します。
披露宴とは?
披露宴とは、普段お世話になっている人たちを招き、新郎新婦を互いのゲストに披露するパーティーのこと。料理や引き出物、演出などを盛り込みゲストをもてなします。必ずしも結婚式とセットで行なう必要はなく、式のみ身内で、披露宴は後日友人中心に行なわれるケースも見受けられます。
元々、披露宴の原型は会食のみであったといわれています。その後、徐々に挨拶などが取り入れられ、明治記念館は 昭和30年(1955)に「御結婚式・御披露宴の栞」を作成しました。そこから様々な演出が競うように盛り込まれていき、今の披露宴の形と進化してきたとの説があります。
2024年の結婚式トレンド
コロナ禍をきっかけに、結婚式への考え方は変化してきました。それまでは、会社関係者や親の知人など、義務感から招待するゲストを招くのは自然なことでした。特に披露宴は、「新郎新婦のお披露目の場」という趣向が強く、派手な演出や豪華なお色直しが行なわれていました。
一方、コロナ禍後の結婚式ではゲストを厳選する夫婦が増え、少人数婚や家族婚の増加にも繋がっています。披露宴では華美な演出よりも、「自分らしさの表現」と「ゲストに感謝を伝える」ことが重要視され、コロナ禍が落ち着いた現在でもその考え方は消えることなく、新しい結婚式の形として引き継がれています。
このような傾向に基づき、最近ではキャンプ場やガーデン付きのレストラン、料亭などを貸し切って行なう自由度の高い披露宴も存在します。ご両親の中には抵抗がある方もいらっしゃるかもしれませんが、新郎新婦の意見を尊重し、見守る姿勢が大切です。
披露宴の流れと進行ガイド
披露宴では、演出への参加や挨拶回りなど親の役割があります。披露宴全体の流れを把握しておくことで、スムーズな行動ができるでしょう。
ここでは一般的な披露宴とカジュアルな披露宴の流れをそれぞれご紹介します。
披露宴の基本的な流れ
ゲストが多い披露宴であれば、ゲスト同士の交流や演出での盛り上がりなど、予想外に時間がかかることが予想されます。会場にもよりますが、所要時間は2時間半程度におさまるように構成されていることが多いです。
当日の進行は現場のスタッフに任せますが、親も大体の時間配分を把握しておきたいところです。
1.ゲスト入場
2.新郎新婦入場
3.主賓挨拶
4.乾杯
5.ケーキ入刀
6.歓談タイム
7.新婦中座
8.再入場とテーブルラウンド
9.ゲストのスピーチや余興
10.新婦の手紙
11.両親への記念品贈呈
12.両家代表謝辞
13.新郎謝辞
14.新郎新婦退場
15.お見送り
近年は、ゲストに準備などの負担をかけないために、余興なしの披露宴も増えています。ゲストの顔ぶれによっては、省略する項目があってもいいでしょう。
カジュアルな披露宴の進行例
「カジュアルな披露宴」とは、一般的には「少人数婚で行なわれる演出が少ない披露宴」のこと。新郎新婦主体の演出がメインではなく、新郎新婦もゲストに交じりながら、終始和気あいあいとした印象です。従来の披露宴と比較すると親の役割も少ないので、皆がリラックスして臨めるでしょう。
1.新郎新婦入場
2.ウエルカムスピーチ(新郎新婦それぞれから挨拶がある場合が多い)
3.ゲスト代表挨拶・乾杯
4.食事・歓談
5.新郎新婦から感謝の挨拶
6.全員での記念撮影
7.ゲストお見送り
カジュアルな披露宴において親の役割は少ないため、新郎新婦との時間がゆっくり楽しめるのが魅力です。
今どきの結婚式費用と贈り物のトレンド
近年の人々の結婚式への価値観の変化に伴って、結婚式費用の負担方法や引き出物事情にも変化が見られています。ここでは、今どきの結婚式費用と引き出物の傾向をご紹介します。
結婚式費用の新常識
2023年のゼクシィ結婚トレンド調査によると、挙式や披露宴にかかる費用の平均は327.1万円です。親世代の頃であれば、結婚式費用は新郎の親が全額負担するケースも見受けられました。一方、近年ではそのようなことは稀で、一般的には両家で折半することがほとんどです。
両家のゲスト数に大差がある場合は、ゲストの人数で割る「人数割り」、衣装やヘアメイクなど各自にかかる費用は「新郎新婦各自で支払い」など、平等性を重視するケースも増えています。
新郎新婦だけで費用をまかなうこともありますが、その裏では親からの資金援助を受けている夫婦も多く、「親から援助があった」人の割合は78.7%という結果に。受け取った平均額は新郎新婦の合計で「181万1000円」という調査結果が出ています。(参考:ゼクシィ結婚トレンド調査2023【首都圏】)
子どものために、結婚費用をコツコツと貯めてきたご両親も多いでしょう。子どもたちにとっては金額にかかわらず、親からの気持ちが嬉しいものです。
最新の引き出物トレンド
以前であれば、新郎新婦が選んだものを全員に配るイメージが強かった引き出物ですが、近年はゲストの立場に立った配り方が主流です。
(1)配送サービスを利用
最近では、引き出物を当日に持ち帰らず、後日ゲストの自宅に郵送するサービスを利用する方が増えています。かさばることの多い引き出物ですが、身軽に帰宅できるのでゲストからも好評です。ゲストへの負担を減らすこともおもてなしの一つといえるでしょう。
(2)ゲストの好みに合わせる「贈り分け」を導入
「贈り分け」とは、ゲストによって引き出物の内容を変えることを指します。本来は「ゲストによってご祝儀の金額が異なるので、引き出物にも差をつける」意味が込められているものです。近年はご祝儀の金額にかかわらず、おもてなしの一つとして「贈り分け」を採用することもあります。
新郎新婦の負担は増えますが、ゲストの年齢や好みに合わせて選ぶので、定番の引き出物より喜んでもらえるでしょう。親戚への引き出物選びには、積極的に親が関わると新郎新婦の助けになります。
ご祝儀の相場とマナー
基本的に、結婚式のご祝儀の相場は「3万円」といわれています。3万円の内訳は、「ゲストをもてなす費用が2万円」と「新郎新婦へのお祝いの金額が1万円」から構成されています。これらを合算して、「3万円」がご祝儀として一般的とされているのです。
・友人の場合:3万円
・親族の場合:親族間のルールや招待される人数にもよるが、およそ5~10万円程度
・会社関係者:3万円が一般的だが、主賓の場合はおよそ5~10万円程度
金額にかかわらず、ご祝儀には新札を用意するのがマナーです。中身が汚れないように袱紗(ふくさ)のご準備も忘れずに。
最後に
今は様々な形式の結婚式や披露宴が行なわれています。親世代の頃の価値観を押し付けるのではなく、結婚式ならではの親子の感動的なひとときを楽しみましょう。
監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/
執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
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