独居シニアも、これからシニアになる人も、人間最後はだれでもひとりです。ごはんも一人で作って食べることになり、それを面倒に感じる人も多いかもしれません。でも、一人だからこそ、好きなものを作って食べられる自由があるのです。
独居生活を謳歌し、60歳から80歳まで1日3食、21900食、1食もムダにしたくない、「おいしいものだけを食べたい」という料理研究家・瀬尾幸子さん。最新刊『60代、ひとり暮らし。瀬尾幸子さんのがんばらない食べ方』(世界文化社)から瀬尾流ひとりごはんの基本と共に、夏のおすすめメニューを3回に渡って紹介します。
第3回は「なす」を上手に使う方法と、日々の料理の小さなヒントです。元気な日も、力尽きた日も、「ついで」と「ちょっと」のワザで、いつものごはんが格段においしくなるうえ、健康も叶います。
文/瀬尾幸子
なすの田舎煮
煮汁がしみたなすは、本当においしいもの。できたてよりも、しっかり冷やしてから食べるのがおすすめです。なすに切り込みを入れると、皮がかみきりやすくなります。油揚げはコクだしになるので、ぜひ入れてください。
【材料】(作りやすい分量)
・なす……4本
・みょうが……2個
・油揚げ……1枚
[煮汁]
・だし汁……2カップ
・しょうゆ……大さじ2
・砂糖……小さじ1と1/2
【作り方】
1.なすはへたを切り落として縦半分に切り、皮に1cm間隔で斜めに切り込みを入れる。みょうがは縦に4つ割りにする。油揚げは長さを3等分に切り、それぞれ対角に切って三角形にする。
2.鍋に煮汁の材料を入れて中火にかける。煮立ったらなす、油揚げ、みょうがを加える。落としぶたをして弱めの中火で15分煮る。火を止めて、そのまま冷ます。
☆煮汁で、そうめんを食べるのもいい!
レンチンなす
なすは、見た目はそう変わらなくても、どんどん水分がなくなってアクが出てきますから、買ったらすぐにレンチンするのがおすすめです。蒸しなすのようになって、おいしく食べられます。炒め物に使ったり、甘酢漬けにしたりすれば、1袋全部、あっという間に食べきれます。
【材料】(作りやすい分量)
・なす……5本
【作り方】
へたを切り落とし、皮を縞目にむく。耐熱の皿にのせ、ふたをして電子レンジで7~10分加熱する。指で押してみて十分やわらかくなっていればOK。保存する場合は清潔な容器に入れる。
※保存の目安は冷蔵庫で4日間
料理をラクにする小さなヒント
切り干し大根は頼れる味方
切り干し大根は、便利なストック食材。水で洗えばすぐに使えるから、ひとりごはんの強い味方です。みそ汁や炒め物、サラダやあえ物にしたり。食物繊維がとれるので、野菜が足りないときに重宝します。
塩は後ふりがいい
塩を先にふると、素材の水分が引き出され、感じる塩けが弱くなる場合があります。塩を後ふりにすると、少量でも塩けをしっかり感じられます。ですから、料理によっては後ふりがいいのです。特に、焼き鳥や刺身、サラダなどは、後ふりがおすすめです。
たこ焼き器のすすめ
ひとり用のたこ焼き器を持っていて、月に1度はたこ焼きを作ります。つまみのようでごはんのようで、シニアのおなかにはちょうどいい。何より楽しいの! 道具で気持ちも盛り上がります。
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瀬尾幸子 (せお・ゆきこ)
料理研究家。
おいしくて簡単、飽きずに食べ続けられる楽しい料理作りがモットー。『みそ汁はおかずです』(Gakken 刊)、『ラクうまごはんのコツ』(新星出版社刊)で料理レシピ本大賞・大賞を受賞。本書では、体によくて、果てしなく自由な〈ひとりごはんライフ〉を新提案。