近年、ペットブームがさらなる盛り上がりをみせています。なかでも最も親しまれている身近な動物、犬と猫は、古くから日本の絵画に描かれてきました。

近年以降も、画家たちが愛犬、愛猫をモティーフにした作品が少なくありません。

山種美術館で開催の特別展「犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―」は犬と猫を題材とした名品が並ぶ展覧会です。(5月12日~7月7日)

本展の見どころを、山種美術館の学芸員、竹林佐恵さんにうかがいました。

「人に最も親しまれている動物、犬と猫。このたび山種美術館に、犬と猫を題材とした名品が一堂に会します。愛らしい犬と猫たちが皆さまのご来館をお待ちしています! 

第1章は、ワンダフルな犬。

江戸時代から現代まで、バラエティに富む、犬を描いたワンダフルな作品をご紹介します。

《洋犬・遊女図屛風》17世紀(江戸時代) 個人蔵

ヨーロッパとの交流が盛んになった桃山~江戸時代初期(16世紀後半~17世紀前半)、日本で洋犬が珍重されるようになります。本作品には、ダックスフンドに似た特徴を持つ犬が描かれています。今回初公開となる作品です。

長沢芦雪《菊花子犬図》18世紀(江戸時代) 個人蔵

じゃれあう9匹の子犬たちが何とも愛らしい作品です。子犬は、芦雪の師である円山応挙が得意とし、人気を博した画題。芦雪は応挙の子犬の表現を踏襲しながらも、のびやかに、愛嬌たっぷりな姿で描いています。

川端龍子《立秋》1932(昭和7)年 大田区立龍子記念館蔵

近代以降には、自らの愛犬を描いた画家たちもいます。愛犬家で知られる川端龍子は、たびたび自らの飼い犬をモデルに作品を制作しました。こちらは、自宅の庭にいる愛犬ムクを描いた作品です。制作を終えた夕暮れ前、愛犬と遊びながらノミ取りをしてあげていたそうです。

第2章は、にゃんともかわいい猫。

こちらも江戸時代から現代まで、にゃんともかわいい猫たちが大集合です。

歌川国芳《山海愛度図会(さんかいめでたいずえ) 七 ヲゝいたい
越中滑川大蛸(えっちゅうなめりかわおおだこ)》1852(嘉永5)年
個人蔵(前期5/12-6/9展示)

江戸時代の猫好きといえば、歌川国芳。常に5、6匹の猫を飼い、絵を描くときも懐に子猫を入れていたといいます。末尾を「~たい」で揃え、その意味に応じたポーズをとる女性と、各地の名物を組み合わせたシリーズの1枚です。ざらついた猫の舌で顔を舐められ、「おお痛い」としながらも、女性の猫に対する視線は愛情に満ちています。

竹内栖鳳《班猫》【重要文化財】 1924(大正13)年 山種美術館蔵

近代京都画壇を牽引した竹内栖鳳による名作《班猫》【重要文化財】。栖鳳は旅先の沼津で偶然見かけた猫から、徽宗皇帝の猫の絵を想起し、表現欲が湧いたといいます。その猫を譲り受けて連れ帰り、写真撮影や写生を繰り返して本作品を完成させました。猫が見せる一瞬の表情や仕草が見事に表現されています。猫特有のしなやかさと、墨、胡粉、金泥などで描かれた猫の毛の柔らかな質感は思わず触れてみたくなるほどです。作品が完成すると、栖鳳の不在中に、猫は行方不明になってしまったそうです。

さらに、特集展示として、花鳥画の優品もご紹介します。犬や猫だけでなく、鳥も画家たちにとって、親しみやすい愛好の対象でした。

犬派の方も、猫派の方も、その他の動物がお好きの方も、お楽しみいただける展覧会です。ご来館お待ちしております!」

犬派や猫派でなくても堪能できる優品が満載です!! ぜひ会場にお運びください。

【開催要項】
特別展 犬派?猫派?―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
会期:2024年5月12日(日)~7月7日(日)
   前期5月12日(日)~6月9日(日) 後期6月11日(火)~7月7日(日)
   会期中展示替えあり
会場:山種美術館
住所:東京都渋谷区広尾3-12-36
電話:050・5541・8600(ハローダイヤル 受付時間9時~20時)
公式サイト:https://www.yamatane-museum.jp/
開館時間:10時~17時(入館は16時30分まで)
休館日:月曜日
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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