暮らしを豊かに、私らしく

終戦からちょうど一年後の1946年8月15日、中原淳一(1913-1983)は自身が編集長を務める『それいゆ』を創刊すると、ファッション、インテリア、イラストレーションなどの領域を超えたマルチクリエイターと呼ぶべき多彩な活躍をしました。

『それいゆ』は、「女性のくらしを新しく、美しくする」というキャッチフレーズのもとに創刊。中原淳一が描いた表紙絵はどれも顔のアップで、帽子、髪型、イヤリング、口紅の色など完璧にコーディネートされ、表紙にふさわしく華やかに演出されています。

中原の「再び人々が夢と希望をもって暮らしを志せる本をつくりたい」という願いが込められています。

『それいゆ』1954年秋号表紙 (C)JUNICHI NAKAHARA/HIMAWARIYA

そごう美術館の「111年目の中原淳一展」は、中原の生誕111年を記念してその足跡を辿る展覧会です。(11月18日~2024年1月10日)

本展の見どころを、そごう美術館の学芸員、市塚寛子さんにうかがいました。

「中原淳一は戦前『少女の友』の挿絵画家として活躍を始めます。手足が長く、瞳の大きい西洋風の少女像は現在の「アイドル」のように熱狂的に支持されました。

「ファッションブック」
(『少女の友』第30巻第8号付録)1937年 個人蔵

1946年には自身が編集長を務める『それいゆ』を創刊。ファッショナブルで鮮やかな服や帽子を身につけ、個性的な髪型をした女性たちをまだ焼け跡も生々しく、彩りも乏しい戦争直後に描きました。

雑誌ではおしゃれをする楽しさや暮らしを豊かにするヒントなどを提案することで、生きることだけで必死な時代に夢や希望を与え、一世を風靡しました。

「ひまわり夏休み手帖」(『ひまわり』第4巻第8号付録)1950年 個人蔵
《COLOUR and COLOUR》
(『女の部屋』第1号原画)1970年 個人蔵

「昭和レトロ」ブームもあり、生誕111年目となる今日でも、中原の残した仕事は、少しも色褪せることなく、むしろ輝きを増し続けています。この展覧会では、『少女の友』、『それいゆ』、『ひまわり』、『ジュニアそれいゆ』、『女の部屋』といった雑誌の仕事のほか、彼の生み出した絵画や人形、服など約400点で、その多彩なクリエーションの全貌を余すところなくご紹介します」 

《パッチワークのフレアスカート》1955年
撮影:岡田昌紘 ディレクション:Gottingham 個人蔵

古くて新しい!! 誰もが楽しめる展覧会です。ぜひ会場に足をお運びください。

【開催要項】
111年目の中原淳一展
会期:2023年11月18日(土)~2024年1月10日(水)
会場:そごう美術館
公式サイト:https://www.sogo-seibu.jp/common/museum/
開館時間:10時~20時、12月31日(日)と1月1日(月・祝)は~18時(入館は閉館30分前まで)
休館日:会期中無休
料金:公式サイト参照
アクセス:公式サイト参照

取材・文/池田充枝

 

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