結婚式の引き出物において、「縁起物」は欠かせないものとして長年定着していました。しかし、最近では必ずしもそうとは言い切れません。実際、定番の縁起物は当たり前すぎて、「また同じようなものか……」というような、マイナスの意見が聞かれることもあります。

子どもたちが主体で結婚式準備を進めていくのが今のスタイルとはいえ、親としては、引き出物は事前に相談しておきたい項目の一つです。その中で「縁起物を入れる・入れない」は地域による違いもあります。両家の地域差を考慮しつつ、どの年代のゲストにも喜ばれる引き出物を準備したいものです。

本記事では、結婚式の引き出物における縁起物や引き出物事情をご紹介します。

目次
引き出物の「縁起物」とは?
引き出物選びのポイント
縁起物は本当に必要なのか?
最後に

引き出物の「縁起物」とは?

「結婚式の引き出物」とは、結婚式当日、両家からゲストにお渡しする「お礼の品物」を指します。地域差により違いはありますが、一般的な引き出物であれば、

1:メインの引き出物(品物)
2:引き菓子
3:縁起物(場合によってはプチギフトになる)

の3種類から構成されています。

その中の「縁起物」とは、「結婚にまつわる縁起が良いもの」とされる品物のことです。

例えば、

・昆布=よろこんぶ(喜ぶ)、子孫繫栄
・鯛=おめでたい
・紅茶=長寿
・うどん=太く長い夫婦円満
・紅白まんじゅう=厄除け

など、結婚式にふさわしい品物が選ばれます。

最近では、縁起物が省略されるケースも見られます。そのような場合、他の品を上質なものにしないと、ゲストからは「節約で縁起物を省略したのかな?」と思われてしまうかもしれません。引き出物の縁起物を省略するなら、全体のバランスを見ながら決めることが大切です。

引き出物の歴史

引き出物の起源は、平安時代までさかのぼると言われてます。当時はお祝いごとなどの集まりがあった際、その家の主人が、招待したお客に馬を贈る風習がありました。「馬を庭に引き出す=引き出物」が現代の引き出物の始まりとも言われています。その後、馬そのものではなく、「馬代(ばだい・うましろ)」と呼ばれる金品に変化していったようです。

昭和初期頃の婚礼では、既に今の引き出物に近い習慣が出来上がっていたとも言われています。それは現代のような、ギフトを贈るものではありませんでしたが、「招待した人がゲストにお土産用の料理を渡す」といったものでした。

具体的には、その場で食べる「本膳(ほんぜん)」と呼ばれる料理以外に、持ち帰り用の膳が用意されており、客はそれには箸をつけず、お土産にします。今では「いただいたご祝儀のお礼」として渡される引き出物ですが、元々は「ゲストの家族へのお土産」の意味合いが強かったことが伺えます。

引き出物選びのポイント

引き出物選びには、「縁起の悪いものは避ける」などの意見もありますが、実は、どれも正式なマナーではありません。引き出物は、時間とお金をかけて出席してくれたゲストに対して、心からの感謝を伝える手段の一つです。そのように考えると、

・ゲストに喜んでいただけるもの
・かさばるものは避ける(引き出物が重くなる場合、配送サービスを利用してゲストに負担をかけない)

など、基本的なマナーを守れば、間違いは起こりにくいでしょう。ここでは、引き出物選びの際、上記にプラスアルファで気を付けたいポイントをご紹介します。

引き出物の内容はゲストの顔ぶれにもよる

以前であれば、どのゲストにも平等に、同じ引出物を用意する形式が一般的でした。しかし、最近では、ゲストの立場によって引出物を変える、「贈り分け」が主流になりつつあります。

贈り分けをする場合、他のゲストと一目瞭然で中身の違いが分かるのは良くありません。引き出物の差が明るみに出ないよう、紙袋は統一するなどの配慮は必要です。

贈り分けをしない場合でも、中にはご祝儀を多めに頂くことがあるかもしれません。その場合、後日「内祝い」としてお礼の品物を贈るのと良いでしょう。

地域ならではの縁起物があるところも

地域によっては、引き出物選びにその土地のしきたりが関わってくることもあります。例えば、富山県では「鯛の形のかまぼこ」、香川県では「おいり」と呼ばれるカラフルなポン菓子を引き出物に入れるなど、地域ならではの縁起物を入れることが多いようです。

地域ならではの引き出物の風習がある場合、両家で風習の違いがないか、確認しておくことが大切です。片方の家の地元だけでなく、相手の家の地域のことも考えて、円滑に引き出物選びを進めていくことが理想的です。

縁起物は本当に必要なのか?

結論を述べると、縁起物は必ず入れなければならないものではありません。以前の結婚式では、縁起物は欠かせないものとされていました。しかし、最近では引き出物に縁起物を入れない方も多い印象です。地域や風習によっては、引き出物の品数が3品以上のところもあります。

実際に、一部のゲストからは「昆布そのままでは料理に使わない」や「毎回同じようなものなので嬉しくない」という意見も聞かれます。このような背景から、最近では縁起物に代わって「カタログギフト」や「実用的なアイテム」が増えてきているのも事実です。

大人のライフスタイル誌「サライ」と、リンベルのコラボカタログギフト『サライの贈り物』

「縁起物」を取り入れたいけれど、そのままの品物を取り入れることには抵抗があるかもしれません。そのような場合、ゲストが使いやすくアレンジされた、現代風の品物を取り入れてみるのも一案です。例えば、「昆布そのものではなく、おしゃれなパッケージの粉末状出汁」などであれば、若いゲストでも日常的に使いやすいでしょう。

今時の結婚式の準備は、新郎新婦が主体となって決めていきます。とはいえ、親が全く関わらなくて良いわけではありません。特に、年配のゲストが多い場合、中には「引き出物に縁起物を入れるのは当然」と考える方もいらっしゃるでしょう。目上の方への引出物に関しては、子どもに任せっきりにせず、親子で相談することをおすすめします。

最後に

縁起物に限らず、今は何でも多様化の時代です。子どもたちのやりたい結婚式の形式によっては、親として疑問に思うこともあるかもしれません。結婚式の準備において、多くの場合、親の意見はあくまで「アドバイス」程度として受け取られることが多い印象です。

しかし、引き出物に関しては、しっかりと親子で話し合いをした上で決めるのが理想です。新郎新婦にとっては、当事者ではない親ならではの客観的なアドバイスを受けて、初めて気が付くこともあるでしょう。

結婚式は、主役のお披露目の意味もありますが、まずはゲストに満足していただくことが大切です。引き出物選びのポイントを押さえて、皆が満足できる結婚式を目指しましょう。

監修/トップウエディング https://top-wedding.jp/

構成・執筆/吉川沙織(京都メディアライン)
https://kyotomedialine.com FB

 

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