「コーピングリスト」という言葉を聞いたことがありますか? ストレス社会においてコーピングリストの作成は重要だと言います。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、コーピングリストの意味と作り方を学びましょう。
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コーピングリストは、ストレス管理に役立つコーピングをリスト化したものです。コーピングリストを準備しておけば、ストレスを感じたときに迅速な対処が可能になります。
この記事ではコーピングリストの概要や作り方と使い方、上手に活用するポイントを解説します。コーピングリスト作りに役立つコーピング例も参考にしてください。
コーピングリストとはストレスへの対処法を一覧にしたもの
コーピングリストとは、ストレスを感じたときの対処法であるコーピングをリスト化してまとめたものです。まずは、コーピングの意味やコーピングリスト作成の目的、得られる効果について解説します。
コーピングの意味
コーピングリストのコーピングは英語でcoping=対処するという意味です。
コーピングは、仕事や人間関係などに起因する、さまざまなストレスに対しての対処方法や工夫のことを意味しています。もともとはメンタルヘルス用語でしたが、従業員の仕事へのストレスを解消させるためにコーピングを取り入れた施策を立てる企業が増えたことから一般に浸透しました。
コーピングリストの目的
コーピングリストを作成する目的は、ストレスを感じたときにすぐに実践し効果を得るためです。
ストレスを感じたときにパニックになったり、対処法がわからなくなったりしても、手元のコーピングリストを見れば、適切な対処方法がすぐにわかります。コーピングリストが手元にあると、ストレスが過剰に蓄積する前に適切な対処が可能になるでしょう。
コーピングリストの2つの効果
コーピングリストを作成すると、ストレス軽減効果と自己受容効果の2つの効果が期待できます。
1.ストレス軽減効果
コーピングリストがあれば、ストレスを受けたときの具体的な対処法が明確です。そのため、自分自身でストレス軽減を図れるでしょう。
2.自己受容効果
自己受容効果とは、自己理解と自己受容を促進する効果です。
コーピングリストの作成は、自分自身のストレス対処法を整理し自己理解を深めることにつながります。
また、自分自身の感情や反応を理解し認めることは、自己受容の促進にも効果的です。さらに、自己分析ができるようになるのでストレスを未然に防げるのもメリット。
自分がどのような状況でストレスを感じ、どんな対処方法が適しているかを理解することで、ストレスを抱えすぎずに適度に解消できるようになるでしょう。
コーピングリストの作り方と使い方
必要なときに迅速にコーピングを実践するためには、リストの作成が効果的です。コーピングを多く用意しておくと、ストレス反応に合わせたものを選択し実践できます。
ここでは、コーピングリストの作り方と使い方を紹介します。
1.ストレスの原因を書き出す
最初のステップは、自分が抱えているストレスにはどんなものがあるのか整理することです。
毎日の生活のなかで感じるストレスを紙に書き出してみましょう。コツは、客観的に書くことです。書き終えたものを見ると、自分のストレスの原因を一覧で理解できるはずです。
さらに、書き出すことでそれまで自分では認識していなかったストレスの根源を発見できるかもしれません。
2.ストレス対処法や気晴らし方法をリスト化する
次に、ストレス解消方法や気晴らし方法を思いつくまま書き出してみてください。
「ジョギングをする」「音楽を聴く」「マッサージに行く」など、自分一人でできるもの、他者にアプローチするものなど、内容は問わずあげていきます。
目標は、100個の対処法を書き出すこと。たくさんの対処法があると、多角的にコーピングの選択肢を増やせます。
3.ストレスを感じたときの自分を客観的に観察する
実際にストレスを感じたとき、自分がどう反応したかを客観的に観察します。手が震えた、涙が出た、イライラしたなど、体の反応、心の反応どちらも観察し記録しましょう。
これによって自分がストレスを感じたときの反応パターンを理解し、対処法を見つけられるようになります。
自分を観察して反応を記録することは、自分のストレスレベルを把握する手段としても有効です。健康に影響を及ぼす前に対処するための手掛かりにもなるでしょう。
4.コーピングリストを実践する
ストレスを感じたら、コーピングリストの中から対処法を選んで実践します。
大切なのは、ストレスを感じたときにできるだけ早急に対処することです。コーピングの実践を繰り返すことで、ストレス管理能力の向上が目指せます。
5.対処法を検証し更新する
コーピングリストを実践したら、ストレスがどのくらい緩和されたかを確認してください。ストレスがどれくらい減ったかを10点満点で採点するとわかりやすいでしょう。
効果が感じられなかったものは優先順位を下げ、さらに新しいコーピングを加えてアップデートしていきます。これを繰り返すと、自分にとって最適なストレス対処法を見つけられます。
コーピングリストを作成するときのポイント
コーピングリストを作成するときには、基本ルールを守ることが大前提です。
さらに、ストレスのない元気なときに作成したり、できるだけたくさんのコーピングをあげたりするなど、押さえておきたいポイントがあります。詳しく紹介します。
基本ルールを守る
コーピングは内容によって、一時的にはストレスが軽減できても、時間が経つと新たなストレスの原因になるものもあります。
以下のポイントを基本ルールとして考え、ルールに則ったコーピングを挙げましょう。
・時間やお金がかからない
・無理なく実行できる
・健康に害を与えない
・人間関係に影響しない
・他人を悪い方向に巻き込まない
・ストレスを感じていないときに作成する
コーピングリストは、ストレスを感じていないポジティブな感情のときに作るのがおすすめです。ストレスを感じているときはマイナス思考に陥りやすいため、ストレスの原因や対処法について十分に考えられない可能性があります。コーピングリストは、心身ともに元気な状態のときに書き出しましょう。
できるだけたくさんの対処法を書き出す
コーピングはできるだけたくさん書き出してください。
良い悪い、可能不可能はあまり考えず、ささいなことでも良いのでまずはたくさん書き出します。質より量が大切だと心得ましょう。
コーピングリストの選択肢が少ないと1つのコーピングに依存してしまい、適切な対処が行えなくなる可能性があります。
もし、コーピングが多ければ、実践して効果を得られなくても、他の選択肢から他のコーピングを選んで試せます。選択肢が多い方が、最適なコーピングを選んで十分な効果を得られるでしょう。
【状況別】コーピングの事例
コーピングリストは、100項目を目標にしましょう。100個の項目をあげるのは大変ですが、ささいなことでも構いません。
映画を見るというコーピングを1つにまとめず、○○の映画を見る、映画館で映画を見る、など1つのコーピングを分解するのもおすすめの方法です。
コーピングリスト作成に参考になる、コーピング例をシチュエーション別に紹介します。
気軽に取り組めるコーピング例
準備なくいつでも気軽に短時間で取り組めるコーピング例です。
・お茶を飲む
・コーヒーを飲む
・スイーツを食べる
・深呼吸する
・部屋を換気する
・背筋を伸ばす
・日光を浴びる
・歯磨きをする
・猫と遊ぶ など
ゆったり時間をかけるコーピング例
時間をかけて自分のストレスと向き合えるコーピング例をピックアップしました。
・ワインを飲む
・子どもの頃の写真を見る
・お菓子を作る
・自宅で映画を見る
・好きな本を読む
・好きな人に手紙を書く
・スマホでゲームをする
・衣替えをする など
リラックスできるコーピング例
リラックス効果の期待できるコーピング例です。
・湯船に浸かる
・マッサージに行く
・銭湯に行く
・頭皮マッサージをする
・ストレッチをする
・足湯をする
・アロマを使う など
外でできるコーピング例
外へ出かけて行うコーピングなら、気分転換にもなるでしょう。
・近所の公園まで散歩に行く
・コンビニに行く
・神社に参拝に行く
・ジョギングする
・海を見に行く
・ドライブで遠出する
・日帰り温泉に行く など
人に会うコーピング例
家族や友人など好きな相手と過ごすことも、良いコーピング例です。
・友達に電話をかける
・飲み会に参加する
・ボランティア活動に参加する
・家族と話す
・友達に会いに行く など
コーピングリストを活用してストレス管理をしよう
コーピングリストは、自分に効果的なストレス対処法を一覧にしたリストです。ストレスを感じたときにリストを見てコーピングを実践することで、ストレスで苦しくなる前に気持ちが楽になれるでしょう。
コーピングリストは、実践と検証を繰り返しながらアップデートすることでより効果的になります。コーピングリストを活用したストレス管理を始めてみませんか。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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