みなさんはフォローアップとフォローの違いをご存知でしょうか? この2つには明確な違いがあります。マネジメント課題解決のためのメディアプラットホーム「識学総研(https://souken.shikigaku.jp)」で、ビジネスにおけるフォローアップの具体的な方法について学びましょう。
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フォローアップとは、一度学んだことがしっかり身につくよう強化したり、進捗確認を行ったりすることを指します。従業員の定着度やスキルの向上に役立つとして、ビジネスシーンで重視されています。
この記事では、ビジネスにおけるフォローアップの意味と重視されている背景、企業が従業員のフォローアップを行う目的と方法を解説。さらに、効果的なフォローアップの方法についても紹介します。
フォローアップとは、すでに行ったことを強化し効果を確認すること
フォローアップとは、対象者が特定のスキルや知識の習得を行った後、一定期間をおいてフォローアップ担当者が再度強化したり、進捗確認をしたり、効果を確認することです。
フォローアップを行うと、スキルや知識の定着が促されます。フォローアップは、教育の現場はもちろん、スポーツやビジネスの世界でも行われています。
ビジネスシーンにおけるフォローアップの意味
ビジネスシーンにおけるフォローアップは、見守りや支援の意味で使われることが多いようです。
新入社員や新規採用を行った従業員、または研修を実施した従業員などに、後日、スキルや知識の定着状況を確認して、アドバイスを行ったり新たな研修を提案したりすることを指します。
フォローとの違い
フォローアップと似た言葉にフォローがあります。フォローとは、フォロー実施者が対象者の本来行うべきことを代わりに補うことです。
対して、フォローアップは、対象者がスキルや知識を習得できるように、フォロー実施者がサポートしたり進捗をともに確認したりすること。フォローアップでは、フォローアップ実施者が本人に考える機会を提供するものの、あくまで実施するのは対象者本人である点がフォローと異なります。
フォローよりフォローアップの方が、人材の育成に効果的であるとされています。
フォローアップが重視されている背景
今、企業においてフォローアップが重視されています。その理由は、新入社員の離職率の高さにあります。
厚生労働省が令和5年に発表した「新規学校卒業就職者の在職期間別離職状況(https://www.mhlw.go.jp/content/11800000/001158624.pdf)」によると、新規学卒就職者における入社3年目までの離職率は、大学卒で32.3%、高校卒で37.0%でした。
離職理由は、人間関係の悩み、または仕事内容が自分に合わなかったからが多く、これらは適切なフォローアップを行うことで回避できることもあるでしょう。
新入社員を採用しても、すぐに離職されてしまっては、企業が人材育成に費やしたコストが無駄になってしまいます。そのため、特に入社3年程度までの従業員へのフォローアップが重視されています。
従業員のフォローアップを行う3つの目的
企業が従業員のフォローアップを行った方が良い理由には、離職率の改善を含め大きく3つの理由があります。それぞれの理由を確認しましょう。
1.従業員の定着率を高めるため
適切なフォローアップを行うことで離職を回避し、従業員の定着率向上が期待できます。業務内容が自分に合わない、人間関係が良くないという理由による離職者は多いですが、適切なフォローアップを行うことで改善できる余地があります。
例えば、上司や部下と合わない、業務内容が合わず本来のスキルを発揮できていないのであれば、異動を検討できるでしょう。もし、業務内容にスキルが見合っていないのであれば、研修の機会を設けてサポートすることも可能です。
フォローアップによって離職理由の解消に近づけられるだけでなく、従業員に企業に対する信頼と安心感を与えられ、エンゲージメント向上にも貢献できます。
2.従業員のスキルを向上させるため
フォローアップによって従業員がスキルを獲得すると、成果を生み出して企業の成長にもつながります。
企業ではさまざまな研修や学習の機会を提供していますが、一度だけでは不十分なことも少なくありません。研修後に定期的にフォローアップすることで、スキルの定着度を上げられるでしょう。
3.企業理念やビジョンを浸透させるため
フォローアップは、企業理念を従業員に浸透させるのにも役立ちます。
従業員に求める行動指針や判断の基準を定め告知を行って、定期的にフォローアップすれば、現場の社員まで浸透しやすくなり定着を図れるでしょう。
具体的なフォローアップの方法
ビジネスシーンにおいては、人事面談や1on1などフォローアップの方法にいくつか種類があります。企業で行われている代表的なフォローアップ方法について紹介します。
人事面談でヒアリングを行う
1つ目は、人事担当者との面談でフォローアップを行う方法です。
従業員が業務上の悩みを抱えている場合、直接的に指導や管理を行っている先輩や上司には言い出しにくいケースもあるでしょう。その場合、業務と直接関係のない人事担当者の方が本音を話しやすいことも。
本人の課題を把握するには、従業員の本音を聞くことが重要です。面談では、従業員の現状や意識、職場環境、今後のキャリアについてなどをヒアリングしながら、何か悩んでいることはないか引き出します。面談後、必要に応じて直属の上司にも報告を行います。
定期的に上司が1on1でヒアリングを行う
2つ目は、フォローアップ対象者とその直属の上司とで、定期的な1on1ミーティングを行う方法です。
直属の上司は日頃の従業員の仕事ぶりを把握しているため、的確なアドバイスがしやすく、きめ細かなフォローアップが叶います。
ミーティングでは、現状の仕事について以外に、キャリアビジョンやスキルアップ方法、中長期的な目標、期待していることなどについても話し合うと良いでしょう。
フォローアップ研修を実施する
入社後に定期的に研修形式でフォローアップを行う企業もあります。
経営理念の浸透やスキルアップなどを目的としてフォローアップ対象者を集めて、過去に受けた研修内容の振り返りや定着の確認が主な内容です。フォローアップ研修では、課題解決や成功体験の共有なども行われます。
フォローアップの対象となる従業員
フォローアップの対象となるのは、主に新入社員、転職者、異動者です。それぞれ、どのように取り組まれているのか、詳しく解説します。
新入社員
最も手厚いフォローアップが必要なのは、離職率の高い新入社員です。主に、入社3年程度までの新入社員が対象になります。
人事担当者や上司との面談以外に、新入社員フォローアップ研修を設ける企業が多いようです。
新入社員フォローアップ研修では、入社してすぐに行う新入社員研修で得たスキルや知識がどれくらい定着して業務に活かせているかを振り返ります。新入社員研修を一緒に受けた同期メンバーと久しぶりに会えるため、仕事に対するモチベーションが高まるのもメリットです。
転職者
転職者は社会人経験があり年齢層も新入社員と比較して高いものの、入社前に抱いていたイメージと入社後のギャップを感じている場合も少なくなく、早期離職につながることもあります。転職者が現状どのように感じているのか把握するために、フォローアップは重要といえるでしょう。
転職者のフォローアップは、人事担当者との面談形式で行われることが主流です。入社前と現在でギャップが生じていないか、同僚とのコミュニケーションは良好かを確認します。現在の業務や働き方についての評価をフィードバックしながら、今後期待していることも伝えます。
異動者
人事異動によって新しい部署へ配属になる場合も、フォローアップが必要です。
異動前には異動の目的や新しいポジションでどのような仕事を期待しているか、異動によって得られるメリットについて伝えます。もし、不安を感じていることがあればヒアリングを行い解消を目指します。
異動後に一定期間経過したら、再度フォローアップ面談を実施。異動前のイメージと異動後のギャップがないか、新しいポジションでの悩みや課題はないかをヒアリングします。
効果的にフォローアップを行うには
フォローアップをより効果的に行うには、いくつかポイントがあります。押さえておきたいポイントについて解説します。
適切なタイミングでフォローアップを行う
フォローアップは、適切なタイミングで行うことが大切です。
フォローアップには日常的に行うものと一定期間後定期的に行うものがあります。
日常的なフォローアップ
日常的に行うフォローアップでは、従業員の業務上の悩みや課題を解決します。
業務に関する悩みや課題は時間が経つと大きくなりがちなため、早急に解決することが望ましいでしょう。都度解決することで、従業員の成長も早まります。新入社員の場合、入社後1か月間は毎日終業時刻前の10分間面談を行うケースも。
フォローアップ対象者が相談したいときに、都度実施できる体制に整えておきましょう。
定期的なフォローアップ
定期的なフォローアップは、入社3ヶ月後、入社1年後のタイミングで行われることが多いようです。
例えば、人事担当者や研修担当者が入社3ヶ月後の研修で新入社員研修の内容が定着しているかを確認し、研修の内容を踏まえた上で実際の業務を行って、再確認したい事項や悩みはないかヒアリングします。さらに、1年後、どれくらい成長しているかを自己認識して今後の目標とキャリアビジョンを立てるなどのフォローアップを行いましょう。
直属の上司も業務上のフォローアップを行って、研修での学びを日常業務にどう落とし込むかを一緒に考えられるとより効果的です。
PDCAを回して従業員のモチベーションを高める
フォローアップは、PDCAサイクルを意識して行います。
研修を受けたらPlan(計画)をして、業務上でDo(実行)を行い、フォローアップ研修で実施事項をCheck(評価)、その上で、Action(改善)を決めるという流れです。
自分自身でPDCAに取り組むと、成長している実感を得られるので従業員のモチベーションも上がるはずです。
フォローアップ対象者が話しやすい雰囲気を作る
適切なフォローアップには、対象者が本音を話しやすい雰囲気が重要です。
他人に課題や悩みを相談するのはハードルが高いこともあるため、対象者がリラックスできるよう仕事と関係ない話題を盛り込むなどの対応が効果的といえます。内容によって、フォローアップ担当者を変えるのもポイント。
業務に関するものであれば直属の上司が適切ですが、内容によっては人事担当者が適していることもあります。
人事評価とフォローアップを連動させる
フォローアップは従業員の成長を促す目的で行うため、フォローアップの結果、従業員が成果を出したら正当な評価が求められます。
フォローアップと人事評価が連動していないと、従業員が取り組みに対してモチベーションを保てず結果を出せないこともあります。
内容を詰め込みすぎないよう注意する
フォローアップの内容を詰め込みすぎるのは逆効果です。
特にフォローアップ研修の場合、詰め込みすぎると内容についてこられない従業員が生まれ、モチベーションが低下してしまいます。期待する効果を得られなくなるため、注意してください。
フォローアップ体制を整えて、従業員の成長や定着率向上につなげよう
フォローアップは従業員の離職率を下げてスキルを定着させ、企業にメリットをもたらすものです。ただし、やり方によっては、効果を発揮できないこともあります。目的と対象者によってフォローアップ実施者や方法を加味して、適切なフォローアップを行いましょう。
【この記事を書いた人】
識学総研 編集部/株式会社識学編集部です。『「マネジメント」を身近に。』をコンセプトに、マネジメント業務の助けになる記事を制作中。3,000社以上に導入された識学メソッドも公開中です。
引用:識学総研 https://souken.shikigaku.jp/
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