ライターI(以下I):『光る君へ』第12回では、藤原道長(演・柄本佑)と源倫子(演・黒木華)の縁談が進むと同時に、道長と源明子(演・瀧内公美)との縁談も進められました。
編集者A(以下A):同じ源氏ですが、倫子の父源雅信(演・益岡徹)は宇多天皇の皇子、敦実(あつみ)親王を父とする宇多源氏。一方の明子の父は醍醐天皇の皇子で源姓を与えられた源高明で、醍醐源氏になります。
I:宇多天皇の息子が醍醐天皇ですから、源倫子、源明子はわりと近い関係ともいえますね。
A:その辺の系譜については、『光る君へ』で時代考証を務めている倉本一宏先生の著書『公家源氏―王権を支えた名族』(中公新書)に詳しいのですが、宇多天皇も醍醐天皇も子沢山で、源姓を与えられた皇子が多かったことに驚かされます。醍醐天皇などは37人もの皇子女がいたといいます。
I:それだけの人数の皇子女がいると朝廷の財政を圧迫したことは否めませんね。後世には、跡継ぎの皇子以外はほとんど出家して仏門に入るのが常態化しますから、たくさんの皇子に官職を与えるだけでもたいへんだったと思います。
【源高明が失脚した安和の変。次ページに続きます】