「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
「脳トレ漢字」第169回は、「温州」をご紹介します。みかんの総称にもなっている「温州」。「おんしゅう」と間違えられることが多いです。実際に読み書きなどをしていただき、漢字への造詣を深めてみてください。
「温州」とは何とよむ?
「温州」の読み方をご存知でしょうか? 「おんしゅう」ではなく……
正解は……
「うんしゅう」です。
『小学館デジタル大辞泉』では、「中国浙江(せっこう)省南東部の港湾都市」「木材・茶・柑橘類の集散地」と説明されています。「温州みかん」といえば、一般的に「みかん」と呼ばれている日本の代表的な柑橘類の一種ですね。
冬の寒い時期、こたつに入りながら食べるものというイメージがありますが、近年は品種改良やハウス栽培が進み、夏から翌春にかけて長く楽しめるようになりました。静岡県のほぼ全域で栽培されている「青島温州」や、沼津地域を中心とする「寿太郎温州」などが、代表的な品種として知られています。
そのほかにも、和歌山県の「有田みかん」や、愛媛県の「伊予柑(いよかん)」なども、温州みかんのブランドとして有名です。
「温州」の漢字の由来は?
果肉が柔らかく、甘くて美味しい温州みかん。「温州」は、中国の温州府(おんしゅうふ)という地名に由来しているそうです。この地で収穫されるみかんは、味が良いと評判だったため、「温州みかん」という名前がつけられたとされています。
地名の読み方は「おんしゅう」なのに、みかんの名前は「うんしゅう」というのが、何だか不思議な感じがしますね。
「温州みかん」の歴史
品種にもよりますが、10月頃から本格的に出荷が始まる「温州みかん」。みかんの歴史は非常に古く、約4200年前にはすでに、中国で栽培が行われていたという記録が残っているそうです。先述の通り、温州みかんの「温州」は、中国の地名に由来します。
代表的な果物の一種とも言える「温州みかん」。実は、今から約400年前に中国から伝来した柑橘から、偶然生まれた品種であると言われているのです。その後、明治時代に栽培が本格化し、主に温帯地域で盛んに生産されるようになりました。
***
いかがでしたか? 今回の「温州」のご紹介は、皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? つい食べ過ぎてしまうほど、甘くて美味しい「温州みかん」。もし、偶然生まれていなければ、今頃全く異なる品種のみかんが多く出回っていたかもしれませんね。
温州みかんの長い歴史を想像しながら、美味しく召し上がってください。
文/とよだまほ(京都メディアライン)
HP:https://kyotomedialine.com FB