「地獄の沙汰も金次第」などということわざがありますが、実際にはあの世にお金を持っていけません。子孫に引き継ぐべき高価な物は遺産として相続されますが、それ以外のものは、処分されます。しかし、遺品を整理していると、故人との思い出が蘇るものや、故人らしさが詰まったものが出てくるものです。
この記事では「遺品整理の時期」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
目次
遺品整理について
遺品整理の方法
遺品整理をする時期
まとめ
遺品整理について
亡くなられた人が、現世に残したものが遺品です。近年ではゴミ屋敷といわれるような、大量のものに埋もれて生活している人もいらっしゃったりします。たとえそうでなくても、現代社会では普通に生活するだけで、もので溢れます。しかし、多くは故人以外には必要のないものだったりするものです。
遺品とは
「遺品」とは、亡くなられた方が日常使っていたもの、保管していたもの、残された物すべてをいいます。「遺産」は、その中の相続対象となりえるもの。例えば、貯金や現金、土地や家屋、車や高級腕時計、貴金属、株式等、金銭価値のあるもののことです。
遺品整理の大変さ
遺品整理をするということは、亡くなられた方が日常使っていたものや、大切に保管されていた思い出の品などを片付けることです。遺品と向き合うたびに、悲しみや寂寥感が襲ってくることでしょう。しかし、亡き人はどんな思いでそれらの物を使っていたのでしょうか? 故人への思いに飲み込まれずに、淡々と整理しましょう。そうしないと、「遺品整理が終わらない」なんてことになりかねません。
遺品整理と形見分け
遺品整理のひとつに「形見分け」という風習が日本にはあります。形見分けとは、故人が愛用していた品を、生前お世話になった方々と分け合うことです。洋服や時計、アクセサリーなど故人が身につけていたもの、ゴルフ道具や釣り道具などの趣味で使っていたものなど。目的としては、まだまだ使えるものを再活用するという側面と、故人を想いだして欲しいという情緒的な側面があります。
遺品整理の方法
遺品整理についてはご自身で行なう方法と、業者に頼んで行なう方法があります。あるいは、ご自身で大まかに整理した後に、業者に頼むという方法も考えられるでしょう。
遺品をどうする
遺品を整理した後、どうするか。大きくまとめると次のような対応になります。
・不用品は廃棄する(燃えるゴミ、燃えないゴミ、粗大ゴミ)
・まだ使えるもの、値段のつく価値のあるものは、業者への買取やリサイクル、寄付をする
・故人との思い出の品、写真などはご自身で引き取る
・金銭価値のあるものについては、遺産となる
遺品整理の手段別メリット・デメリット
・すべて自分で対応する場合
故人が残した遺品の量にもよりますが、時間は想像よりかかるものです。しかし、業者に依頼するより、金銭的な負担は少なくてすむでしょう。故人を偲びながら遺品を整理することも大切な時間。期限まで余裕があって家が近い、時間がとれるなどの条件が揃えば、すべて自分たちで遺品整理してみることをおすすめします。
・遺品整理業者に依頼する場合
家との距離が遠い、時間がとれない、退去期限が迫っているなどの場合は、遺品整理業者に依頼するのも手です。当然費用はかかりますが、体力や時間の節約になります。特に遺品整理士が在籍している遺品整理業者は、適切な仕分け法をわきまえていますので安心です。
・自分で整理したあとに、遺品整理業者に依頼する場合
遺品整理業者にとって、見積金額を左右するポイントは遺品の仕分け作業です。遺品をある程度仕分けしておくと、料金も安くなるということ。遺品整理は自分たちにとって大変な作業になりますが、意外な掘り出し物や、懐かしい物が出てくるかもしれません。
遺品整理をする時期
遺品整理に期限はありません。ただし、遺品整理は放置しておくと大変なことになるケースもあります。
遺品整理しないと起こりうるリスク
賃貸物件であれば、遺品整理をしてからでないと退去できません。次の家賃更新日までには、遺品整理をして退去するように検討しましょう。また、動画視聴サイトや、オンラインサロンなどの定期的なサブスクサービスの利用は、気づかずにずっと支払い続けることになりかねません。カード支払いや銀行口座引き落としの履歴などを確認することも、遺品整理のひとつです。
故人の持ち家である場合、特定空き家に指定されると固定資産税が最大6倍にあがります。景観を損ねる、保安上危険である、衛生上有害であるなどの管理状態にかかる条件がいくつかありますのでご留意ください。また、2026年からは、全国に先駆けて京都市で空き家税も導入される見込みです。
遺品整理の実際
遺品整理の実際はどのように行なっていくのでしょうか?
・故人の遺志は?
まず一番大切なのは故人の遺志です。エンディングノートや遺言書、あるいは日記や手帳などで記されている遺志を確認して親族と共有し検討します。遺品の中から何を形見分けにするか、不用品としてゴミに出すか、使えるものは使いたい親族はいるかなどを確認しましょう。
・実施スケジュール
概要が決まったら、実際にスケジュールを立てて実行します。自分たちでやるのか、業者に頼むのかなどを考慮してゴールを決めて取り掛かりましょう。
・遺品の分類
相続対象となりえるもの(通帳や印鑑、現金、保険証券、不動産関連書類、宝飾品や時計、貴金属、高級バッグなど)と不用品などをまとめます。次に、利用を停止させるためのものとして光熱費やインターネットなどの契約書関係。借金などの借用書、未完済のローン、税金などの負債情報などの確認も必要です。
・デジタル遺品
デジタル遺品とは、故人が所有するパソコンやスマートフォンの中にあるID・パスワードの情報、ネットバンキングなどの情報、SNSやその他サイトの登録情報などです。これらはID・パスワードで保護されているケースがほとんどですから、専門業者に任せるといいでしょう。
・処分方法の検討
不用品の中から、業者に買い取ってもらったり寄付ができるもの、処分したほうがいいものなどに分けていきましょう。その中で形見分けするような故人との思い出の品もあわせて分類していきます。
遺品整理のタイミング
遺品整理をする期限はありませんが、様々なリスクを考えると、放置することはほぼ不可能です。では、どのタイミングでするのがベストなのかというと、それも特にありません。始めたい時に始める、というのが一番いいタイミングなのかもしれません。ただ様々なリスクを考えると、早めに取り掛かった方がいいでしょう。
賃貸物件の場合は、退去日などの関係で、葬儀後すぐに始めることをおすすめします。また、孤独死などの場合は、感染などの衛生管理上、早くしなければなりません。
葬儀後は、社会保険の受給停止や死亡時受給、行政への届出など、しなければならない手続きが多く時間がとられます。提出期限のある手続きを終えたあとに始めるというのが、集中して取り組めるいいタイミングです。
もう一つのタイミングとしては、相続税の申告漏れがないように、申告までに終える方がいいでしょう。
まとめ
所有する喜びは生きている間だけです。たくさんのものを残して亡くなると、遺族は遺品整理で大変な思いをすることになります。近年、最小限の物でいいというミニマルな生活の考え方も広がりつつあります。もしかすると近い将来、遺品整理は、生きている間に自分でするという時代がやってくるかもしれませんね。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)