古き良き昭和の時代から現在まで走り続ける歌手、タレントの中でも屈指の存在感を誇る研ナオコさん。最近では、You Tubeでの飾らない姿が若い世代にも人気となり、フォロワー数は20万人以上にのぼります。
本格的な高齢化社会を迎え、「これからの人生をどう生きていけば良いのか?」「何をすれば後悔のない人生を送れるのか?」などの悩みを日々抱えている方々は少なくありません。今年、70歳を迎える研さんが、これまでの人生を振り返り、これからの人生の楽しみ方を記した『70歳、すっぴん人生』(Gakken)には、そんな人たちの人生の羅針盤となるような言葉や人生の指針が満載です。
研さんらしく、明るく、飾らず、そしておしゃれに、「人生を楽しみながら生きるためのコツ」の提案をご紹介します。
文/研ナオコ
本当の友だちは少なくていい。つきあいが増えすぎると手を抜いた関係ができてしまうから。
アタシの周りで本当に友だちって言えるのは2、3人くらいだと思う。その人たちとは数年会うことがなくても、会えば一瞬でいつも通りの会話ができる。最近はネット社会だから若い人たちが簡単に多くの友だちを作れるようだけど、それってそう簡単にできるものじゃない。自分の都合のいいときに連絡してきて、相手の都合が悪ければ、 「つきあいの悪いヤツだ」ってことになるような気がする。あの人がダメならこの人でいいや、っていうふうにあしらわれることになる。
今ではメールやメッセージで、直接相手につながれるでしょう。だからこそアタシは、「今、連絡して大丈夫かな」「仕事で手が離せないときだと悪いな」とか相手の状況を考えて連絡するかを決める。最低でもそれくらいの配慮がないといけないんじゃないかと思う。そういう相手って多くはできないんじゃないかな。
それでも多くの人々とつきあおうとしたら、幾人かは手を抜いてつきあうしかない。それって相手のためにも、自分のためにもならないでしょう。毎日のように会って、一日に何度も連絡を取り合うことだけで成り立つような関係ばかりではないのよ。数年ぶりに電話したとしても、声を聞けばすぐに普段通りの会話ができる。本当の友だちってそういうものだと思うわ。
周りとなじみすぎると、大事なものをなくす。
もともと白だった自分が朱に交わり、気がつくとピンクになっている。
人とのつきあいにおいては、仕事でもプライベートでも距離感が大事。とくに仕事の場ではなじみすぎてしまうといい結果は生まれないわね。自分は白だと思っているのに周りにいる人が赤ばかりだと、いつの間にか自分がピンクになっていることに気がつかないことがある。朱に交われば赤くなる、という言葉があるけど、自分で意識して赤く染まらない距離感を保つことが大事なんですよ。それぞれが違う考えを持っているから、いろんなアイデアが生まれたり、他にないものができる。距離が縮まってきて、似たような考え方しかできなくなると何も発展しないでしょう。それがエスカレートすると、違う意見や違うタイプの人間を受け入れられなくなってしまうし。
最近よく使われる言葉だけど多様性って言うでしょ。みんな違ってみんないい、ってこと。それぞれの違いを認め合う距離感が大事なんじゃないかと思うの。こういうことって日々の人間関係で心当たりがあるっていう人も多いんじゃないでしょうか。だからアタシは周りと適度な距離を置くの。そのほうがアタシの肌の粗も目立たないですしね(笑)。
【人間関係のオン、オフがわかっていないと、気遣いもできなくなる。次ページに続きます】