取材・文/ふじのあやこ
家族の中には、血縁のない『義(理の)家族』という間柄がある。結婚相手の親族関係を指すことが一般的だが、離婚件数が増える現在では、親の再婚相手や、再婚相手の連れ子など、家族の関係は複雑化している。血のつながりがないからこそ生じる問題、そして新たに生まれるものも存在する。義家族との関係を実際に持つようになった当事者にインタビューして、そのときに感じた率直な思いを語ってもらう。
韓国の女性DJが音楽イベントでの性被害を受けた問題が波紋を広げている。同意のない性的な行為は暴力であり、犯罪行為にあたる。内閣府によると『性暴力は、年齢、性別にかかわらず起こります。また、身近な人や夫婦・恋人の間でも起こります。』と定義されている。その内閣府が行った「男女間における暴力に関する調査」報告書(令和2年度)によると、女性の約4人に1人、男性の約5人に1人は、配偶者から被害を受けたことがあり、女性の約10人に1人は何度も受けているとのこと。
今回お話を伺ったみゆきさん(仮名・43歳)は現在夫と2人の子どもとの4人暮らし。「浮気をしてくれたら、別れられるのに……」と夫の不倫からの離婚を望んでいる。
最初の彼氏は姉の紹介。性にフランクな家だった
みゆきさんは千葉県出身で、母親と8歳上に姉のいる4人家族。両親はみゆきさんが小学生のときに離婚。離婚後は母親の恋人や、姉の恋人と一緒に暮らしていたこともあり、性については「早熟だった」と学生時代を振り返る。
「私が小さい頃から両親はケンカばかりしていて、いつしか父親が帰って来なくなって、そのまま離婚となりました。そこから父親には一度も連絡を取っていません。大人になって父親の葬儀に参加したのですが、過去の面影が一切なくて、泣けませんでした。父とは他人みたいな、そんな間柄です。
家には母親の恋人や姉の彼氏が頻繁に家にいて、それが普通でした。中学生のときに姉の彼氏の後輩という人を紹介してもらって、付き合ったこともあります。うちの家はそのくらい、性にフランクだったんです。だから、異性関係は母や姉には何も隠すことなく打ち明けていました」
みゆきさんは高校を卒業後に就職。しかし、女性だけの職場でいじめに遭い、1年弱で退職。そこからアルバイトなどを転々としていたという。
「姉も高校を卒業後に働いていたので、私も進学、というか勉強に興味がなかったんです。成績も悪かったし。
高校を卒業後はアパレルブランドの販売員になったんですが、若いというだけでいじめられました。ボス的な人に目を付けられると、昨日まで優しく接してくれていた人も手のひらを返したようにいじめに加わってきました。職場では社割で服を購入してそれを着て仕事をしなければいけなかったんですが、その服を渡される前に服の布地が切られていることもありました。いつからか裁縫道具を持ち歩くようになりましたよ(苦笑)。そのお店での出来事をずっと母親や姉に最初の頃は笑いながら相談していたんですが、いつしか笑えなくなっていって……。そしたら2人とも『辞めていい』と言ってくれて、すぐに店長にいじめに遭っていたことをぶちまけて辞めてやりました」
【付き合って4か月で授かり婚。新婚生活には付き合ったばかりという新鮮さもあった。次ページに続きます】