相続手続きの第1歩である「法定相続人の確定」をすることで、相続財産を誰にどれだけ渡すかを協議することが可能になります。この法定相続人の確定において必要になるのが戸籍謄本です。
そこで今回は、日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)の税理士 中川義敬が、長年にわたる税理士業務を通じて得た幅広い知識や経験に基づき、相続申告に必要な戸籍謄本の種類や取得方法ついてご説明いたします。
目次
相続で戸籍謄本が必要になるのはどんなとき?
相続の手続きに必要な戸籍謄本の種類とは?
相続の手続きに必要な戸籍謄本の取得方法
まとめ
相続で戸籍謄本が必要になるのはどんなとき?
戸籍謄本とは、戸籍にいる全員分の記録を記載した文書で、戸籍の謄本、抄本どちらも戸籍簿の写したものになります。戸籍謄本と戸籍抄本の違いについて見ていくと、謄本は戸籍内容の全部の写しであり、抄本は戸籍内容の個人の写しです。コンピュータ化後の戸籍では、謄本を全部事項証明、抄本を個人事項証明と総称します。戸籍謄本は相続が発生した際、遺産分割の手続きや相続申告のために必要となるものです。
相続の手続きは、法定相続人が誰であるかを特定するところからスタートします。法定相続人とは、法律上、相続権をもつ一定の親族のことです。被相続人の配偶者は必ず法定相続人になりますが、その他は、子・親・兄弟姉妹の順で変わります。
常に法定相続人… 配偶者
【法定相続人の順位】
・第1順位… 子
・第2順位… 親
・第3順位… 兄弟姉妹
このことから遺産相続手続きは、まず被相続人に子供がいないか確認するため、死亡から出生までの戸籍をすべて収集するところからスタートします。
相続の手続きに必要な戸籍謄本の種類とは?
相続の手続きに必要な戸籍謄本の種類とは、一般的に下記書類のことを指します。
・被相続人の戸籍謄本又は除籍謄本
・相続人の戸籍謄本又は戸籍抄本
・被相続人の改製原戸籍謄本
戸籍謄本
相続登記を行う際のポイントは、被相続人の戸籍謄本の取得です。遺言による登記を除き、相続登記では、被相続人の戸籍謄本を出生から死亡まで集めなければなりません。その目的は、被相続人の法定相続人を正確に判断するためです。ところが、戸籍謄本は、本籍地を管轄する役所でしか発行できません。もし生前に何度か転居を行い、その間に結婚や離婚などが行われた方の場合は、本籍地が各地に存在する場合があります。
その場合は、戸籍謄本から1つ前の本籍地を調べ、その本籍地を管轄する役所から戸籍謄本を取得し、また1つ前の本籍地を調べるという作業を繰り返し、出生まで遡らなければなりません。しかも、1つ1つの戸籍から、新たな法定相続人がいないか(例えば、子供が生まれていないかなど)をチェックすることも並行して行います。
特に、古い戸籍謄本は手書きで読みづらく文面も独特のものであるため、初めて見る場合は、読むことさえ難しいかもしれません。
除籍謄本
市町村が発行する戸籍に関する証明書の1つで、戸籍の構成員の全員が「除籍」した状態の戸籍謄本のことを指します。「除籍」とは、婚姻や離婚、他の市町村への転籍等によってその戸籍から人が抜けること。また在籍している人が死亡することによって起こります。
例えば、両親と子供の3人の戸籍において、両親が死亡し、子供が婚姻して配偶者と新しい戸籍を編製して出て入った場合、この戸籍の謄本は、「除籍謄本」になるのです。
改製原戸籍謄本
「かいせいはらこせきとうほん」または、「かいせいげんこせきとうほん」と読みます。戸籍法が改正されたときに、戸籍の様式などが変更されると、新しい様式の戸籍に書き換えが行われるのです。この書き換え前の戸籍のことを、「改製原戸籍」といいます。
相続の手続きに必要な戸籍謄本の取得方法
戸籍謄本の取り方には、郵送による取り寄せ・窓口での請求が一般的であり、取得に必要な書類は誰が請求するかで変わります。また、戸籍謄本はコンビニで取得することも可能です。ただし、コンビニ取得は、要件及び制約がありますので、郵送による取り寄せや窓口での請求の方がわかりやすいでしょう。
ここでは、郵送による取り寄せと窓口での請求に分けて、一般的な必要書類をご紹介します。あくまで一般例ですので、請求先のWebサイト等でも確認を行ってください。
【郵送による取り寄せ】
必要書類は、以下のとおりです。
書類等 | 内容 |
戸籍謄本の請求書 | 各市町村が定める様式をダウンロードして使用する |
手数料 | 定額小為替の同封で受け付ける市町村が多いが、方法は要確認 ※1 |
請求者の本人確認書類 | 免許証や健康保険証など本人確認ができる書類のコピーや住民票等 |
請求権限が確認できる書類 | ・親族からの請求:対象者との親族関係がわかる書類(除籍謄本、戸籍謄本など ※2 ※3) ・代理請求:委任状など |
返信用封筒 | 宛先を記載し、必要額の切手を貼付したもの |
※1 支払いは、定額小為替のほか現金書留で受け付けている役場もあります。
※2 除籍謄本に記載されている本人は不要です。
※3 請求先が保管する戸籍謄本で親族関係がわかる方も不要です。
【窓口での請求】
必要書類は、以下のとおりです。
書類等 | 内容 |
戸籍謄本の請求書 | 各市町村が定める様式を使用する |
手数料 | 現金納付 |
請求者の本人確認書類 | 郵送に同じ |
請求権限が確認できる書類 | 郵送に同じ |
印鑑 | 市町村によっては持参を求められる |
まとめ
相続の手続きに関して、戸籍謄本が必要といっても、戸籍謄本のほかに除籍謄本や改製原戸籍謄本なども必要になり、被相続人と相続人のものを、それぞれ準備することになります。そのため、戸籍謄本などを収集するだけでもそれなりに手間がかかるでしょう。
法定相続人の確定は、相続手続きを始めるための大切な第1歩になりますので、今後準備を予定されている方は、この記事をご参考になさってください。
●取材協力/中川 義敬(なかがわ よしたか)
日本クレアス税理士法人 執行役員 税理士
東証一部上場企業から中小企業・個人に至るまで、税務相談、税務申告対応、組織再編コンサルティング、相続・事業継承コンサルティング、経理アウトソーシング、決算早期化等、幅広い業務経験を有する。個々の状況に合わせた対応により「円滑な事業継承」、「争続にならない相続」のアドバイスをモットーとしており多くのクライアントから高い評価と信頼を得ている。
日本クレアス税理士法人(https://j-creas.com)
構成・編集/松田慶子(京都メディアライン ・https://kyotomedialine.com)