人生も長く生きておりますと“役回り”ということが巡ってきます。この“役回り”には、「はい、はい」と二つ返事で受けられるものばかりではございません。気が重くなるような“役回り”もあり、色々と理由をつけて“役”に就かないようにする向きもございます。
経験があることならば快く引き受けられても、全く経験や知識がないことになると「損な役回り」のようで嫌なものです。しかしながら、信頼されてお願いされた以上、断れない「役回り」というものがあります。その一つが、葬儀の受付です。
この記事では「葬儀の受付を頼まれ時のこと」について、京都・滋賀で85年の歴史を持ち年間約6,000件の葬儀を施行する、葬祭専門企業・公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)がご紹介いたします。
もしもの時、その日の時に、この記事をお役立てください。
目次
葬儀受付の流れ
葬儀受付のマナー
葬儀受付の服装
まとめ
葬儀受付の流れ
葬儀の受付の仕事は、ご芳名帳に記帳してもらい、香典を預かることが主たるものになります。ただし、その役割は遺族の代理であり、代表でもあります。弔問客が最初に面会するのも受付です。そのため印象よく接することが求められます。
前準備
受付は弔問客からの問い合わせに答えなければならないため、早めに葬儀場に入り、葬儀場全体のレイアウトや更衣室、トイレ、休憩所などの場所を把握しておく必要があります。実際に受付を行なう際の、香典の受け渡し、ご芳名帳を書く場所、返礼品の受け渡しなど、場所と動線を確認しておきましょう。大きな葬儀になりますと、受付自体の人数も多くなりますので、それぞれの役割分担も明確にしておきます。
挨拶
受付は遺族側の代表であり、顔でもありますので、弔問客に対してきちんと挨拶をします。「本日はお忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます」と丁寧にゆっくりと穏やかに話しましょう。
ご芳名
ご遺族にとって芳名帳は、香典返しをする際に貴重な情報となります。したがって、名前だけでなく、住所も記入されているかなど情報がしっかり書かれているかを確認する必要があります。
また、ボールペン、筆ペン、鉛筆など弔問客の好みに合わせて、数種類用意しておく必要があります。本数も余裕をもって準備しておきましょう。
香典の受け取り
弔問客が香典を出されたら、「お預かりします」と両手を差し出して受け取り、ゆっくりと一礼をします。遺族が香典辞退の葬儀の場合は、香典を渡そうとする弔問客に対して「申し訳ございません。ご遺族の意志により、香典は辞退申し上げます」などと丁重にお断りします。
返礼品を渡す
香典を受け取ったタイミングで、返礼品を渡します。ご注意いただきたいのは、連名でのお香典の場合や、団体名での香典の場合です。連名の場合は、必ず書かれている人数分の返礼品をお渡しします。団体の場合はひとつで構いません。なお、受付では渡さず、ご焼香の後でお渡しする場合もあります。
ご案内
主に、葬儀会場への入り口を案内します。そのほか、お手洗いや更衣室など、弔問客の質問に対して答えなければなりません。わかりやすい例を挙げますと、デパートやショッピングセンターの総合受付のような役割です。必ず早めに葬儀場に入り、下見をするようにしましょう。
香典袋を会計係に渡す
香典袋を受け取ってすぐに、会計係に渡すのは失礼になりますのでやめましょう。本人が受付から離れてから渡すようにします。万一、名前を書き忘れた香典袋だった場合も同様に、本人が離れてから記入するようにしましょう。ただし香典袋をいつまでも手に持っておくのもよくありません。次の方が来られる前に会計係に渡します。
葬儀後のあと片付け
葬儀が終了しましたら、受付の後片付けを行います。香典、ご芳名帳、名刺、お供え物や供花など、弔問客からの預かりものも、遺族または世話役にまとめて渡します。返礼品の品が余った場合も、まとめて渡しましょう。
葬儀受付のマナー
葬儀の受付を頼まれたら、引き受けるかどうかを含めて受付の対応にはマナーがあります。また、葬儀には様々なマナーが存在します。特に、言葉遣いや挨拶などには気をつけて、遺族に恥をかかせぬようにしましょう。
受付を頼まれたら
遺族である知人や友人、あるいは会社関係の方から葬儀の受付係を頼まれたら、できる限り断らないことがマナーです。遺族の方は、あなたを信頼してお願いをしています。葬儀の準備などで大変忙しくされている中で、断られるとまた違う人にお願いしなければなりません。なるべく遺族のことを慮って差し上げましょう。
言葉遣い
実際に受付をする際に大切なマナーは、ゆっくり丁寧にお伝えすることです。厳かな葬儀の場に相応しい立ち居振る舞いをすることが、求められます。言葉遣いにも気をつけましょう。例えば、ご芳名帳に記入をお願いする場合なども「恐れ入りますが、お名前・ご住所をご記入いただけますでしょうか」と丁寧にお伝えします。
葬儀受付の服装
葬儀受付をする際の服装について、男性と女性の場合についてみていきましょう。基本的には葬儀の参列者と同じ基準で考えてください。
男性の場合
上下黒の準喪服で白い無地のワイシャツ、黒のネクタイを着用。靴は光沢のない黒の合成皮革のもので、靴下も黒の無地のものを履きましょう。髪型もワックスを控えめにして、光沢を出さないような整髪剤で、厳かな雰囲気に相応しいものにします。
女性の場合
肌の露出の少ない、黒のフォーマルスーツやワンピースを着用します。ストッキングも黒か肌色のものを選びます。靴も黒いシンプルなデザインのものを選びます。髪が長い人はお辞儀をしたときに顔に髪がかからないように、黒いゴムやピン、バレッタなどで、ばらつかないようにまとめて留めておきましょう。メイクは薄くナチュラルなものを心がけ、口紅やチークなども薄めにします。
まとめ
葬儀の受付をお願いされるということは、遺族の方から信頼されている証です。役割をしっかり務め、信頼にこたえたいですね。そのためにも、事前にしっかり流れとマナーをおさえておくといいでしょう。
●取材協力・監修/公益社(https://www.koekisha-kyoto.com)
京都・滋賀で85年に渡り葬儀奉仕の道をひと筋にあゆんでいます。「もしも」のとき安心してお任せいただけるのが公益社です。
●編集/中野敦志(京都メディアライン・https://kyotomedialine.com FB)