「いつまでも疲れが抜けない」「気が短くなった気がする」「食欲がない」……。その不調、あなたの心と体が休めていないサインかもしれません。
自らも睡眠を変えたことで人生が変わった、睡眠コンサルタントの友野なおが、自分自身を幸福感で満たし前向きに生きるための“心と体の上手な休め方”をアドバイスします。
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不調というほどではないけれど、気分が沈みがち……そんなことはありませんか?
何かに取りかかる前から「なんだかイヤだなぁ」「どうせうまくいかないだろう」としり込みしたり、現状に対して「自分はうまくいっていない」と後ろ向きな気持ちになったり。
こうしたことも、頑張りすぎて上手に休めていない時ほど起きやすいものです。
じつは、目の前の出来事に対して「苦しい」「イヤだ」と感じるのも、「うれしい」「チャンスだ」と思うのも、自分次第。同じ出来事でも、上手に休めていてストレスのない心なら前向きに受け止めることができ、休めていないと否定的に感じられるのです。
心が上手に休めないまま、出来事を否定的に受け止めることが続くと、心はさらに疲弊しストレスを抱える悪循環に陥ってしまいます。
そんなときに効果的なのが、言葉の力を活用した「アファメーション」という方法です。
■言葉から心を変える“口に出すおまじない”
“言霊(ことだま)”という言い方があるように、言葉にはもともと強い力が秘められています。その力を活用した自己実現法が「アファメーション」と呼ばれるものです。
アファメーションは、自己実現のためのおまじないのようなもの。自分の「なりたい理想」や「実現したい夢」を言葉におきかえて口にします。とくに、潜在意識が全開になっている就寝前や、朝起きてすぐに行うと効果が得られやすい、とされています。
たとえば「プロジェクトを成功させて年収を上げたい」という願いがあるなら「私はプロジェクトを成功させ、年収が今1,000万円を超えています」、「家族と過ごす時間をもう少しとりたい」という願いなら「私は毎日家族と夕食を一緒に取り、食後1時間は家族と団らんの時間を過ごしています」といった具合です。
ポイントは以下の3つ。
(1)始めに“私”などの一人称をつける
(2)現在形で、すでに実現していることとして言う
「~したい」「~になりたい」という言葉は、裏を返せば「今はまだ実現していない」ということ。そのイメージが脳に刻まれてしまい、前に進む力が弱まってしまいます。
(3)否定語は使わず、肯定的な言葉で言い切る
幼いお子さんに「~してはダメだよ」と言っても聞いてくれなかった、という経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか。じつは、否定語をイメージするのはとても難しいもの。潜在意識は否定語をイメージできない、とも言われています。アファメーションの最後は、心からの感謝の気持ちを込めて「ありがとうございました」の一言で締めくくりましょう。
■潜在意識に働きかけて毎日をハッピーに
ネガティブ思考は心を疲弊させます。ついつい口にしてしまいそうな「お金が貯まらない」「将来が不安だ」「仕事を辞めたい」といったような言葉は使わない、と意識するだけでも、心を休ませ、整えることにつながります。
さらに、ポジティブな響きを持つアファメーションの言葉を夜寝る前に口にし、潜在意識に刷り込むことで、なりたいイメージが固められ、魔法にかかったかのようにどんどん夢が現実へと変わっていくのです。
言葉が心と体に及ぼす影響とは、私たちが思っている以上に強いもの。言霊の力を借りるアファメーションでネガティブな自分と決別し、仕事もプライベートもポジティブな喜びにあふれた未来を歩みたいですよね。
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心と体は自律神経系、免疫系、内分泌系の3つのルートでつながっています。そのため、心が不安や心配などのマイナスイメージで埋め尽くされていると体にも不調が起こり、老化が加速します。
私の著書『やすみかたの教科書』では、アファメーションをはじめ心と体を整える40の工夫をご紹介しています。あなたに合った「やすみかた」を取り入れることで、ポジティブな理想の自分をつくっていくことができるでしょう。
本書が、1人でも多くの方の“心と体の休み方”を見つめ直すきっかけになれば幸いです。
監修・構成/友野なお
取材・文/酒寄美智子
指導/友野なお(とものなお)
睡眠コンサルタント。株式会社SEA Trinity代表取締役。科学でわかる ねむりの環境・空間ラボ主宰。自身が睡眠を改善したことにより体質改善に成功した経験から、睡眠を専門的に研究。日本睡眠学会、日本睡眠環境学会に所属。行動療法からの睡眠改善、快眠を促す寝室空間づくりを得意とし、全国での講演活動、健康・美容市場における企業の商品開発やプロモーションのコンサルテーションを行う。
【参考図書】
『やすみかたの教科書』
(友野なお・著、主婦の友社)