取材・文/ふじのあやこ
厚生労働省が発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」では、2020年度の婚姻件数は 52万5490組、離婚件数は19万3251組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。
「新しい夫は元夫と違って、社交的で色んなところに連れて行ってくれて、そんなところも大好きでした。だけど、交流が広すぎるのも考えものなんだなと今は思います」と語るのは、詩さん(仮名・36歳)。一度目は22歳から付き合い5年間の同棲を経て結婚するも、婚姻関係は2年で破綻した。
お金がないからという理由で同棲をスタート
詩さんは千葉県出身で、両親と3歳下に弟のいる4人家族。家族仲は良く、母親が結婚する前まで美容師として働いていたこともあり、詩さんも高校を卒業後は都内の美容学校に進学した。資格試験にも合格して、都内にある小さな美容院に就職が決まったが、美容院勤務は1年で挫折してしまう。
「小さい頃から母親に髪を切ってもらっていたので、自然と美容師に憧れるようになったんですけど、今思うと無難に大学に行けば良かったと思います。美容師ってそれ以外につぶしがきかないんです。資格を生かさなかったらただの専門卒ですから。
働いた先は小さい美容院だったので店長のワンマンで、ロクに教えてもくれないのに『ちゃんと考えて動け!』って裏で怒鳴られることがしょっちゅうでした。私と一緒に新卒の子がもう1人入ったのですが、その子は半年も持たなくて……。
他にスタイリストの先輩が1人いただけで、人数は常にかつかつでとにかく忙しくて。その先輩に話を聞いたら新卒がすぐやめていくお店だったみたいです。育てる余裕がないのに経験者を入れないとその先輩はずっと私に愚痴っていましたね。私も店長にやめたいと伝えたものの、そこから5か月は働くことを強いられました。あの1年は人生の中で一番長く感じましたね」
当時の詩さんはパソコンも軽く触った程度でタッチタイピングもできなかった。契約社員としてアパレルブランドの販売員として働き出し、別フロアで働く同い年の男性と付き合うことになる。それが一度目の結婚相手だった。
「お互い働いていたのは商業施設のテナントで、先輩たちが別フロアの人たちと飲み会を開くルートみたいなのがあって、そこから元夫とも仲良くなりました。
付き合ってすぐにお互い給料が少ないからという理由で同棲することになって。私はまだ実家だったんですけど、通勤がしんどかったので丁度いいと思って、そのときはまったく結婚などを深く考えずにOKしました」
【ただ入籍しただけの結婚生活は夫の不倫で強制終了。次ページに続きます】