取材・文/ふじのあやこ
厚生労働省が発表した「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)」では、2020年度の婚姻件数は 52万5490組、離婚件数は19万3251組。婚姻件数、離婚件数ともに前年よりも減少しているものの、今もどこかで夫婦が誕生して、夫婦が他人になっている。日本の非婚化がメディアなどで多く取り上げられているが、今回は離婚を経験後に再び家族を求める人たちに、その理由を伺っていく。
「子どもが欲しくて離婚したのに、今の夫には子どもが欲しいとも、結婚したいとも言い出せませんでした。私には負い目があったから」と語るのは、希望さん(仮名・42歳)。元夫との離婚理由は、相手が子どもを欲しがらなかったことだという。
憧れの東京で出会った男性と25歳で結婚
希望さんは富山県出身で、両親と3歳上に姉と1歳下に弟のいる5人家族。小さい頃から生まれ育った田舎が嫌いで、東京への憧れが強かった。高校卒業後にすぐ、先に上京していた姉と暮らし始める。
「実家と折り合いが悪かったわけじゃないんですが、小さい頃からテレビの中でキラキラしていた東京への憧れが強かった。それに姉が先に上京したことで、東京の暮らしがリアルに行ける場所になって、そこからは毎日のように東京にいる自分をイメージしていました。
本当なら学生として上京したかったんですけど、有名大学しか親の許可がもらえず、私の頭ではそんな学校に行けるわけもなかった。結局、東京には就職で行くことに。正社員だったら場所はとりあえずどこでも良かったので、とりあえず受かった人材派遣の事務の仕事を始めました」
元夫とはその会社で出会い、5年の交際を経て入籍。結婚を機に専業主婦になる。家庭に入ることにしたのは子どもが欲しかったからだと言うが。
「付き合っている間から結婚の話はよく出ていました。その中で子どもが早く欲しいねって言い合っていたんです。相手も『そうだな』って言ってくれていたから、結婚後すぐに子どもを産むつもりでいました。
でも、私が仕事を辞めた後で『もうしばらくは2人の生活を楽しみたい』と言い出してきたのです。『そのまま専業主婦でいいから俺を支えてほしい』とも。その“しばらく”は2~3年だと思っていたから最初は笑顔で了承していたのですが」
【子どもが欲しい気持ちばかりが先行した20~30代。次ページに続きます】