「あれ? なんて漢字だったっけ」と悩むことが多くなっていませんか? 少しだけ思い出す努力をしてみるものの、結局は「まあ、いいか」と諦めることもあったりして、記憶の衰えを実感することもあるのではないでしょうか? しかし、思い出すことが記憶力の鍛錬につながると言われています。
動画を見ながら漢字の読み書きをすることで、脳のトレーニングとなります。また、この記事を通じて、読むこと・書くこと・漢字の意味を深く知り、漢字の能力を高く保つことにお役立てください。
「脳トレ漢字」第92回は、「漫ろ」をご紹介します。よく「気も漫ろ」といった使われ方をする言葉です。
脳トレ漢字の動画を見ながら“読んで書く”ことで、記憶力を鍛えながら、漢字への造詣を深めてみてください。
「漫ろ」はなんと読む?
「漫ろ」という漢字、読み方に心当たりはありますか?「まんろ」ではなく……
正解は……
「そぞろ」です。
『小学館デジタル大辞泉』には、「これといった理由もなしにそうなったり、そうしたりする様、なんとなく」や「心が落ち着かず、そわそわする様」、「むやみなさま、やたら」などの意味が挙げられています。
「そぞろ」は「すずろ」という古語と同じ語源です。「すずろ」は、これといったはっきりした根拠や原因がないままに、事や心が進む様子を表します。
「漫ろ」の漢字の由来とは?
「漫ろ」を構成する漢字を見ていきましょう。「漫」という字は、もともと「どこまでものびる広い水」という意味を持ち、そこから転じて、「締まりがない」「みだりに」の意味も表すようになりました。「漫ろ」の「なんとなく」「心が落ち着かない」という意味も、同様の由来だといえるでしょう。
ちなみに「漫」は「漫画」に使われ、馴染みのある字ですが、「漫画」の語源は「気の向くままに描くもの」という意味だと考えられています。現在は多くの人を魅了する文化である「漫画」も、初めは「“漫”(みだ)りに描いた“画”」だったのだと思うと面白いですね。
「漫ろ歩き」とは?
「気も漫ろ」「漫ろ雨」のように「漫ろ」を含む言葉は多くあります。中でも「漫ろ歩き」はご存知の方も多いでしょう。では、「漫ろ歩き」とは具体的にどんな歩き方なのでしょうか?
「漫ろ歩き」とは「当てもなく、気の向くままにぶらぶら歩きまわること」という意味です。これといったはっきりした目的がないままに、ぶらぶらと歩く散歩・散策が「漫ろ歩き」だといえるでしょう。
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いかがでしたか? 今回の「漫ろ」のご紹介は皆さまの漢字知識を広げるのに少しはお役に立てたでしょうか? 古語から派生し、今も使われている言葉は多くあります。語源や漢字表記を知ると、なんとなく使っていた言葉も、自分のものになったような感覚が芽生えるのではないでしょうか。
来週もお楽しみに。
文/トヨダリコ(京都メディアライン)
アニメーション/鈴木菜々絵(京都メディアライン)
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