退職金制度を設けるかどうかは、企業の自主的な判断であるものの、福利厚生の仕組みをしっかりと整えることで、従業員の勤労意欲を高める効果が期待できます。実際に退職金制度を取り入れた場合には、将来の退職金の支払いのための資金準備をしっかりとしておく必要があります。

中小企業の場合は、以前に紹介した「中小企業退職金共済制度」を活用しているケースが多いのですが、その他の準備手段として「保険」を利用することもできます。退職金のための「保険」とはどのような仕組みなのか、メリットやデメリットも含めておさらいしてみましょう。

100歳社会を笑顔で過ごすためのライフプラン、ライフブック(R)(https://www.smilelife-project.com/)を提唱する、1級FP技能士・藤原未来がわかりやすく解説します。

目次
保険で退職金を積み立てるとは?
退職金を保険で積み立てるメリット・デメリット
法人と個人の積立の違いとは?
まとめ

保険で退職金を積み立てるとは?

従業員のための退職金の積立手段の一つとして、「保険」を活用することが考えられます。これは、主に中小企業の従業員のための退職金の財源を準備する目的で利用されます。

多くの会社で、利用されているのが養老保険による「福利厚生プラン」で、「ハーフタックスプラン」という呼び名も有名です。

「福利厚生プラン」では、会社が契約者となり、「死亡保険金」の受取人を従業員(被保険者)の遺族、「満期保険金」の受取人を会社(法人)に設定します。

これにより、従業員が在職中に死亡した場合には遺族が「死亡退職金」を受け取れるようにしておき、何事もなく退職を迎えたら「満期保険金」等を原資にして、退職金を支払うというものです。つまり、従業員とその家族の福利厚生のための手厚い保障プランということになります。

ただし、福利厚生目的なので、一定の条件をみたす従業員の全員を被保険者にする必要があります。また、税務上のメリットを受けるためには、しっかりと福利厚生を行っていることを証明する材料として、福利厚生に関する規定はきちんと定めておく必要があります。

退職金を保険で積み立てるメリット・デメリット

 会社にとって、「養老保険」で退職金を積み立てるメリットは、主に以下の4つです。

<メリット1> 保険料の1/2を損金に算入しながら退職金を積み立てることができる

養老保険(福利厚生プラン)は、保険料の1/2が損金に算入されます。一方で「中小企業退職金共済」の掛金は全額が損金算入なので、それと比べると税負担が軽くなる効果は半分ですが、それでも、「1/2損金」は大きなメリットです。

ただし、損金メリットを活用するためには、毎年しっかりと利益を出す必要があります。

<メリット2>退職金の給付条件を柔軟に設定できる

養老保険「福利厚生プラン」を活用する場合、例えば、在職期間が短い従業員への給付水準を低くし、在職期間が長い従業員への給付水準を高くするといった柔軟性をもたせることができます。また、「懲戒解雇」になった従業員には退職金を支給しないということも可能です。

これに対し、「中小企業退職金共済」の場合、一旦掛金を支払ったらいかなる理由であれ返金されません。しかも、加入後1年以降であれば「懲戒解雇」の場合にも退職金が原則として支給されることになります。

したがって、養老保険の方が、退職金の給付条件を柔軟に設定できます。

<メリット3>遺族は決められた死亡保険金を受け取れる

もしも在職中に従業員に万一のことがあった場合には、その遺族に死亡保険金が直接支払われます。会社は「福利厚生規程」で決めておけば、この死亡保険金を「死亡退職金」として扱うことができます。

保険加入直後でまだ保険料が少ししか支払われていなかったとしても、被保険者になっている従業員が死亡した場合には、その従業員の遺族は必ず死亡保険金を満額受け取れるのです。これは、従業員やその遺族に対する手厚い保障だと言えます。

<メリット4>緊急の資金繰りニーズに対応できる

養老保険は、保険期間の中途で解約すると解約返戻金が受け取れますので、緊急の場合には一部または全額を解約して事業資金に充てることができます。ただし、解約するには福利厚生規程の改定など、従業員に納得できる説明が必要となるので極力避けたいものです。

それとは別に、契約条件によっては「契約者貸付」の制度を利用して、解約返戻金の90%程度までの金額を借りることもできます。

一方、「養老保険」で退職金を積み立てるデメリットは主に次の2つです。

<デメリット1> 保険料負担がキャッシュフローの悪化を招くリスクがある

従業員の退職金制度のような福利厚生の制度は、一旦整備したら、基本的には撤廃するのは難しいと言えます。従業員が会社に対し、不安や不信を抱く原因にもなりかねませんので、経営資金の確保のために保険契約の一部または全部を解約するのは、可能な限り避けるべきだと言えます。

<デメリット2>従業員の出入りが激しいと損をするリスクがある

契約初期に被保険者(従業員)が退職してしまうと、会社はその人にかけた保険を解約せざるをえません。その場合、解約返戻金が支払われないか、支払った保険料の総額よりも相当に低い額しか支払われないことになります。

そのため、従業員の平均在籍期間が短く出入りが激しい会社だと、損をするリスクがあります。

法人と個人の積立の違いとは?

 上記の養老保険による「福利厚生プラン」は、「法人」が従業員向けに準備する退職金に対する手段です。

それに対し、「法人」ではなく「個人」である自営業者や個人事業主の場合の手段の一つとして、一般的に活用される「小規模企業共済」という制度があります。

こちらは法人の経営者も利用できますが、基本的には「個人」向けの積立商品であり、その特徴(メリット)は毎年の掛金が「個人」の所得税の計算上、「所得控除」扱いになることです。「個人」として、自分の退職金を準備する目的で広く利用されています。

まとめ

会社が従業員の退職金の準備のために活用する、養老保険の「福利厚生プラン」について、その特徴とメリット・デメリットをお伝えしてきましたが、ご理解いただけましたでしょうか。

経営者にとって、退職金制度を導入しその資金準備をすることは、経営を安定させるためにとても重要な要素になります。

反対に従業員にとっては、自分が勤めている会社の退職金制度や資金準備のしくみを知ることは、いずれ退職した後のリタイアメントプランに大きく影響しますので、注目すべきポイントになります。その内容を理解したうえで、ライフプランを作ってしっかり将来に向けて備えることをお勧めします。

生命保険や金融商品などを販売しない、中立的なファイナンシャルプランナーは相談者の立場に立って最適なリタイアメントプラン作りをお手伝いします。 

●編集/京都メディアライン(HP:https://kyotomedialine.com FB

●取材協力/藤原未来(ふじわらみき)

株式会社SMILELIFE project 代表取締役、1級ファイナンシャルプランニング技能士。2017年9月株式会社SMILELIFE projectを設立。100歳社会の到来を前提とした個人向けトータルライフプランニングサービス「LIFEBOOK®サービス」をスタート。米国モデルをベースとした最先端のFPノウハウとアドバイザートレーニングプログラムを用い、金融・保険商品を販売しないコンサルティングフィーに特化した独立フランチャイズアドバイザー制度を確立することにより、「日本人の新しい働き方、新しい生き方」をプロデュースすることを事業の目的とする。

株式会社SMILELIFE project(https://www.smilelife-project.com

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